■ 講義・四日目
K芸工大における三日目の講義に出かける。
五人の男子学生を相手に、
おもちゃのデザインの仕方、
おもちゃの作り方を教えているのだが、
男子学生ばかりのクラスであるから、
ついつい話題は女性のことに偏っていってしまう。
「どうやって口説いたらええのんやろ?」とか、
「デート申し込む時ってドキドキせえへん?」とか、
隣のクラスで陶芸を学ぶ女の子たちに比べ、
なんとも純情な男の子たちである。
「先生、僕な、六戦全敗やねん」、とT君がいきなり話をふってくる。
「何が六戦全敗やねん?」、と訊くと、
「六人の女の子にデート申し込んだけど、全滅ですねん」、と言う。
「その内、T君は片っ端から女を口説きまわってる、とかの噂が立つで!」
「何かえ〜方法ってありませんか?」
「気に入った女の子がおったら、とりあえず口説くしかないやろな」
「そやけど、断られたら傷つきますやん」
「誰が?」
「僕が・・・」
「打たれ続けてるうちに、打たれ強うなるんとちゃうか」
「人事やと思うてから・・・」
「そやけど、女の子の答えはイエスかノーか、どっちかしかあれへんやろ」
「まぁ、そうですけど・・・」
「ほんなら、成功の確率は五割、ちゅうこととちゃうんかいな」
「はぁ、まぁ、そうですけど・・・」
「競馬場で当たらん馬券買うよりも確率は高いで!」
「ギャハハ・・・」
「な!?」
「なんや、元気でてきましたわ」
「ええ男になって、君を振った女の子らを見返したったらええねん」
「そやけど、どうやったらええ男になれますのん?」
「しょうむない話ばっかりせんと、まずは俺の講義をしっかりと聴くことやな」
「は〜い」
なんとも純情な男の子たちであるね。
今日は綱渡り人形を制作する予定であったが、
お喋りが過ぎて、作業は完成にまで至らなかった。
はて、今日はいったい何の講義をしたのだろうか・・・?
さて、明日から東京を経由して新潟に出張しなければならない。
帰りは二十一日の午後になる予定。