■ 香美薗

aquio2007-10-28

「さて、今夜はどこで何を食べようか」、
と思案していたら、
ビエンナーレの会場にT君が入ってくる。
入ってくるなり、
「あぁ、お腹空いた」
「晩ご飯ご馳走してください」、と言いやがる。
普通であれば、
「無礼者め」、と一刀両断に切り捨てるところだが、
どういうワケか、T君が言うと憎めない・・・。
で、抱えていた仕事をサッサと済ませ、
元町の「香美薗」に向かう。
汚れが隅々にまで行き届いているような店だが、
この店の中華は本当に美味しい。
私の知る限りにおいて、多分、神戸でも一二を争う店ではないだろうか。
店に入るなり、
「もう遅いから注文は一度にまとめて言うてや!」、とオバチャンが言う。
で、慌てて、麻婆豆腐、炒飯、ワンタン、烏賊の天婦羅、揚げ餃子、を注文する。
この店の炒飯は滅茶苦茶に美味いのだが、
その炒飯に麻婆豆腐をまぶして食べると、猶のこと美味さが増す。
炒飯を茶碗に盛り、麻婆豆腐の分量を加減しながら食べる。
烏賊の天婦羅の軟らかいことといったら・・・。
「時間はかまへんから、残さず食べて帰ってや!」、と先ほどのオバチャンが言う。
ちょっと注文しすぎたかもしれない・・・。
「う〜、苦しい」
「あぁ、美味い」、と言いながら一皿ずつ片付けていく。
食べている途中、店の掃除が始まる。
厨房の中でも後片付けが始まり、賄い料理を作る音が聞えてくる。
「もうちょっと待っててな」
「すぐ食べ終わるさかい」、とオバチャンに声をかける。
あれだね、こういう「裏」も「表」もない店における食事は、心から寛げるものだね。
どんなに食事を急がされても、それがちっとも嫌味に感じない。
大震災以降、この元町にも小奇麗な店が増えてきた。
しかし、どのように「表」を取り繕っても、
「裏」で何が行われているのか、「裏」でどのような会話が交わされているのか、
従業員の顔つき一つ、仕種一つで何もかもが見えてしまうものである・・・。
三十一日には、岡山からH君が手助けにやって来てくれるはず。
ボランティアのKさんにも大変お世話になった。
三十一日には、彼らのために「香美薗」で一席もうけることにしよう。
「香美薗」の炒飯と麻婆豆腐。
何度食べても、飽きるということがない。