■ 手作り

aquio2007-10-30

作品を展示するとともに、
神戸ビエンナーレ」の会場において、
毎日、私はワーク・ショップを開催している。
ワーク・ショップのタイトルは、
「端材で作る動くおもちゃ」。
今日、小さな子どもを連れた母親がやって来る。
「先生、お願いしますぅ」
「何をですか?」
「この子におもちゃ作りを体験させたいんですぅ」
「このお子さんは何歳ですか?」
「二歳ですぅ」
「それはいくらなんでも無理でしょう!」
「でも、どうしてもお願いしたいんですぅ」
「おもちゃで遊ぶ年齢であっても、おもちゃが作れる年齢ではない、と思いますが・・・」
「どうしてですかぁ?」
当たり前の意見が通らないようである。
さっさと作って、さっさと帰っていただくことにした。
「この木をこう切って欲しい」とか、
「この丸い棒をこの長さに切って欲しい」とか、
予想したとおりの要望が次々と出てくる・・・。
一時間もしないうち、二歳の子どもは床の上でスヤスヤと眠りだしてしまった。
「それ見たことか!」、なのであるね。
結局は、一から十まで、私がおもちゃを完成させなければならなかった。
眠っている子を揺り起こし、
「ほうら、Aちゃん、先生がこ〜んなに素敵なおもちゃを作ってくださったわよぉ」、
と母親はぬかしておったぞ。
次に、一人の中年の女がやって来る。
「先生、私、先生の作られたこの『魔女』のおもちゃを作りたいんです」
「このおもちゃを作るには、私でも一日はかかってしまいます」
「でも、作りたいんです」
「二時間という限られた時間の中で、それは無理じゃぁないですか・・・?」
「でも、私の娘は『魔女』が大好きなんです」
「俺の知ったことか!」、と言いかけたが、
さっさと作って、さっさと帰っていただくことにした。
これが美しく清楚な女性であったり、肉感的ないい女であれば、
手取り足取り教えることも吝かではないんだけどね・・・。
下心丸見え、なのであるが、
結局は、一から十まで、私がおもちゃを完成させなければならなかった。
いや、今日は実に有意義な手作りおもちゃ教室であったな。
近頃は、こんな手合の親が、実に多い。