■ 実り

aquio2007-11-07

第三セクター方式で運営されている、
某博物館の運営会議に出席する。
この博物館の設立は今から十三年ほど前のこと。
普通、民間の企業であれば、
間違っても進出しないような、そんな辺鄙な場所に、
この博物館は建設されたのだった。
入館料を徴収する図書館などどこにもないように、
そもそも、博物館や図書館は、
営利からは遠く離れた所に位置する施設である。
もとから採算が取れないような施設でありながら、
採算を取るように求められたのだった・・・。
職員たちの努力もあり、
単年度の黒字を幾度か計上するほどの優良な施設であったが、
例の「市町村合併」の煽りを受け、
近年は、小額とはいえ、赤字を計上し続けている・・・。
つい最近、
第三セクターに一切の補填をしてはならない」、という内容の法律が可決されたばかり。
第三セクターを取り巻く環境は悪化の一途を辿っている。
行政の都合で設立された第三セクターが、
今度は、行政の都合で潰されようとしている・・・。
「この博物館を今後どのように運営するのか!?」、が今日の議題であった。
「この博物館はこの市の財産である」
「赤字であっても、絶対に潰してはならない施設である」、
と居並ぶ役員たちの認識は一致していた。
実に喜ばしい認識であるが、
ここに至るまで、実に十三年という年月がかかってしまっていた。
市長からは、「この博物館を市立博物館へと格上げさせる」、との言葉があった。
職員たちの十三年間に渡る苦労が報われた瞬間であった。
関わり続けてきた私にとっても、実に喜ばしい瞬間であった。
市立になった場合、職員たちの待遇がどのように変化するかは解らないが、
働いても働かなくても給料が出るのであれば、
人は徐々に働かなくなってしまうものである。
それが人情というものではないだろうか・・・。
市立に格上げされるのであれば、
職員たちには猶一層の努力が求められるだろう。
市立になったからと、そこで努力が止んでしまってはならない、とそう思う。