■ 川西屋の酒饅頭
「川西屋」の饅頭が食べたくなり、
新潟県柏崎から群馬県高崎に向かう途中、
長岡で下車し、神田町にある「川西屋」に向かう。
この店の饅頭はすぐに売り切れてしまう。
今日も、十時を少し過ぎたばかりだというに、
「塩饅頭十個、酒饅頭十個」、
と大量にまとめ買いをしている先客がいた。
その客に訊いたところによると、
「川西屋」は一日に数十個の饅頭しか作らない、という。
土産用に酒饅頭二個、塩饅頭二個を購入する。
消費税込み一個八十四円という安さ。
酒饅頭も塩饅頭も、昔懐かしい素朴な味がする。
酒饅頭には麹の匂いがして、実に美味い。
帰ろうとすると、
店のオバチャンが「必ず今日中に食べてね」、と言う。
保存料など入っていないから、日持ちが悪いのだ。
本来、「食品」とはそうしたものではないだろうか。
「川西屋」の饅頭を食べながら、例の「赤福事件」のことを思う。
「川西屋」の饅頭が喰いたければ、長岡に行けばいいのだし、
「赤福」の餅を喰いたければ、伊勢に行けばいいのだ。
本来、伊勢でしか喰えなかった餅を、
北海道でも喰えるようにした、というところに大きな問題がある。
賞味期限改竄という行為は確かにみみっちい行為であったが、
それが糾弾されるほどの悪行であった、とはどうしても思えない・・・。
また、「赤福」ではその餅と餡を分けて再利用したらしいが、
まだまだ喰えるモノを再利用したことが、どうして悪いことなんだろうか・・・。
少し前、泥にまみれた麺を口に入れて食べる子どもの姿を見たことがある。
秘密裏に撮影された北朝鮮の子どもたちの映像であった。
第二次世界大戦中、
南方で戦った兵士たちの例を挙げるまでもなく、飢えた人間はあらゆるモノを食べる。
父からその悲惨さはよく聞かされていた・・・。
今、日本はその食料の約七割を輸入に頼っている。
食料自給率三割の国の国民が、「な〜にかっこつけてんだよ」、と私は言いたい!
テレビも、新聞も、週刊誌も、ほとんど同じ口調で「赤福」を糾弾していたが、
ま、そんなマスコミもマスコミであるな。
今のマスコミの報道のあり方に、日本人の一律主義の怖さを見る思いがする。
世界恐慌でも起これば、明日から日本国民のほとんどは、飢える。
さて、飢えた国民はいったい何を食べたらいいのだろうか・・・。
「こんなことが許されていいのか」、などとニュース・キャスターたちは喚いておったが、
「それは許される」、のでありますね。
正義の味方ぶったニュース・キャスターたちの方が、よほど許せない。
「赤福」を糾弾するのであれば、返す刀で、
マスコミは自国の食料自給率の低さを問題にすべきではないのか。