■ 針金のトナカイ

aquio2007-11-23

神戸Pホテルの玄関を飾る、
クリスマス・ディスプレーの制作を始める。
今年の干支にちなみ、
去年は「萩に猪」のシュビップボーゲンを作った。
で、今年は来年の干支にあたる
「鼠」のシュビップボーゲンを作るつもりでいたが、
クリスマス用のディスプレーとはいえ、
宿泊業や飲食業においては嫌われ者の「鼠」を、
その玄関に飾るというのはいかがなものか、
とプランを根本から練り直すことにした・・・。
で、一昨日に読んだ、「クレメント・ムーア」著による
「The Night Before Christmas」の内容を思い出し、
針金で八頭のトナカイを作ることにした。
高さ八十センチほどの針金のトナカイ。
「The Night Before Christmas」によると、
サンタクロースのソリを引くのは八頭のトナカイなのだが、
その八頭に、赤鼻のトナカイ「RUDOLPH/ルドルフ」を加えることにした。
八頭のトナカイの真ん中に「ルドルフ」を配することにしよう。
鼻を真っ赤に塗った針金の「ルドルフ」。
調べてみると、八頭のトナカイのうち、
「DANCER」と「PRANCER」と「VIXEN」の三頭は、どうやら雌のようである。
「DANCER」は「優雅に踊る」ように駆けるトナカイ。
「PRANCER」は「踊り跳ねる」ように駆けるトナカイ。
「VIXEN」は「おしゃべり」なトナカイ・・・。
八頭のトナカイには、その名が示すように、夫々に性格が与えられているのだが、
しかし、針金一本で夫々の性格を表す、というのは難しいものであるな・・・。
一方、「ルドルフ」はというと、
どうやらこいつは、野球でいうところの「二軍選手」であったようである。
星明かりや月明かりがまったく無い晩、
あまりの暗さにサンタクロースは出かけられずに困っていた。
そんな時、サンタクロースは赤い鼻をピカピカと光らせていた「ルドルフ」を見つけ、
八匹のトナカイの先頭を走り、ソリを先導するよう命令する。
実戦経験のない「二軍選手」がいきなり「四番バッター」に抜擢されたようなもの。
一九三十八年に著された「RUDOLPH the Red-Nosed Reindeer」の中に書かれている物語。
著者は通信販売会社のコピー・ライターであった「Robert May/ロバート・メイ」。
極貧にあえいでいた「メイ」は、この物語を、母を亡くした一人娘のために作ったという。
「光の当たらない場所にいる者にも、いつかは光の当たる日がやってくる」
「メイ」は「ルドルフ」の物語を通じて、そのことを娘に伝えたかったらしい。
そして、この「RUDOLPH the Red-Nosed Reindeer」をきっかけして、
「メイ」は日の当たらない場所から日の当たる場所に出ていくのである。