■ 針金のトナカイ・その2
ああでもない、こうでもない、
と昨日は手こずったものの、
手順が分かれば、二頭めからの制作は比較的簡単であった。
今日も朝から針金と格闘する。
ペンチで切り落とした針金の先はとても鋭い。
注意しながら作業を進めたのだが、
右手の甲と中指の先に切り傷を作ってしまった。
今日は来客も少なかったし、電話もあまりかかってこなかった。
作業に集中できたおかげで、
今日一日で五頭のトナカイが出来上がる。
あと残すところ四頭・・・。
明日中にはなんとか完成させることができるだろう。
ユーカリでできた枕木にトナカイを一頭ずつ固定し、
あらかじめ作っておいた台の上に乗せる。
背後に金色に塗ったプレートを設置し、
前から強力なスポット・ライトの光を浴びせる。
予測していたとおり、
金色のプレート上には五頭のトナカイの影が浮かび上がる。
プレートに写った影を見ると、
針金とはまったく違う表情に見えてくるから、不思議・・・。
彗星のように足が速いという、
「COMET」のつもりで作ったトナカイの影を見ると、
その表情はどことなく頼りなさげであるし、
おしゃべりな「VIXEN」のつもりで作ったトナカイの影は、
人の良いただのオバサン的トナカイにしか見えない・・・。
踊るように走るとされる「DANCER」にいたっては、
光の当たり具合が悪いのか、中年太りのダンサーに見えてまう・・・。
九頭のトナカイ、その夫々の性格を針金で表すというのは、
実に難しい作業であるなぁ・・・・。
しかし、「もう五頭も作っちゃったもんね」なのであるから、
今更作り直しなどしたくもないし、
また、明後日が納品の期日であるから、
作り直している時間などどこにも無い、のである。
ユーカリの枕木には、九頭のトナカイ夫々のネーム・プレートを貼り付けるつもりであったが、
スポット・ライトの当たり具合で、その表情は変わってしまうのであるから、
影を見ながら、針金の曲げ具合を修正してみることにしよう。
しかし、自画自賛めくが、
なかなかに楽しいクリスマスのディスプレーが出来上がったのではないか、と思う。