■ お正月・その2
今日は本当に久しぶりの休日。
八時過ぎまで惰眠をむさぼった後、
車を走らせて近江八幡に向かう。
アパートから近江八幡までは約二時間ほどの道程だが、
名神高速道は驚くほど混み合っていた。
正月が明けたばかりだというに、
道にはどことなく殺気立ったような雰囲気が漂っていた。
「皆さんお仕事ご苦労様」
「俺はこれから遊びに行くんだもんね」、
とゆったりとした気分で車を流れにのせて走らせる。
近江八幡の市街は驚くほど閑散としていた。
町外れの喫茶店「茶楽・さらく」の扉を開け、
お堀の水を眺めながらキーマ・カレーを食べる。
この店のキーマ・カレーは本当に美味い。
コーヒーを楽しんだ後、
「瓦ミュージアム」の辺りをブラブラと散歩する。
八幡の境内にある「たねや」で名物の最中を家族のために購入。
午後五時、風が冷たくなってきたので、
車を走らせて京都に向かう。
京都の市街は驚くほど混み合っていた。
車を駅前の駐車場に預け、
タクシーに乗って河原町筋の竹屋町に向かい、割烹「はらだ」の扉を開ける。
まずは白味噌仕立てのお雑煮をご馳走になる。
人が遊ぶ時に働かなくてはならない仕事であるから、
私には人並みのお盆もなければ正月も、ない。
年が明けてから、今日まで雑煮を口にしていなかった・・・。
女将が「箸休めにどうぞ」、と小さな椀を出してくれた。
椀の中には、細く刻まれた葱が入っていた。
その葱に醤油をかけていただくのだが、
葱がこれほどまでに美味しいものであるとは、今の今まで知らなかった・・・。
醤油をかけただけの葱。
それだけでご飯が何杯もいただけるほど美味い。
簡単な料理であればあるほど、素材そのものの美味さが問われる。
いつか真似をして作ってみることにしよう。
原田さんが作られたという「からすみ」もねっとりとしていて美味かった。
午後九時、京都から神戸のアパートに向けて出発する。
独り法師ではあったが、いや、実に静かないいお正月だった。