■ 金の湯

aquio2008-01-18

昨日に引き続き、今日も寒かった。
午後六時、サッサと仕事を切り上げ、
パンツとシャツと手拭いを紙袋に放り込み、
有馬温泉の「金の湯」に出かける。
「今日は金の湯に行く」、と朝から決めていた。
アパートの風呂では、なかなか身体の芯まで温まらない。
湧き出た時には無色透明の湯だが、
鉄分を多く含んでいるため、
湯はアッと言う間に酸化し、茶色に変色してしまう。
その茶色に変色した湯の色を「金」に見立てたのだが、
平日ということもあってか、「金の湯」は驚くほど空いていた。
有馬はシーズン・オフの平日に限るね。
私の体色は浅黒いから、
茶色に変色した湯に身体を浮かべていると、
まるで、豚汁に浮かぶ牛蒡になったような気がする。
「俺が牛蒡なら、あの人は差し詰め豆腐といったところかな」、とか、
「これだけの具が入ってんねんから、湯にはええ出汁が出てるで」、とか、
「湯に七味唐辛子入れたら、もっと温まるんとちゃうん?」、とか、
「寒い日の豚汁は身体に沁みるね」、とか、
「そうや、今日はオバチャンの店で豚汁を食べよう」、とか、
阿呆なことを連想しながら身体を温める・・・。
浴槽に出たり入ったり、一時間ほどは過ごしただろう。
すっかり温まってしまった。
電動マッサージ機に百円也を投入し、背中の強張りをほぐす。
とても気持ちがいい。
地獄極楽などの存在は信じてもいないのだが、
ついつい、「う〜、極楽極楽」、などと呟いてしまう。
「金の湯」を出た後、
「豚汁、豚汁、豚汁、豚汁・・・」、と呪文のように口ずさみながら、
馴染みの食堂に出かけて、豚汁定食を注文する。
あれだね、寒い日は豚汁に限るね。