■ 講義・十一日目

aquio2008-01-29

芸工大における講義十一日目。
「自分でデザインしたからくり人形を自分で作る」、
という課題を与えておいたのだが、
講義が始まる前から、
学生たちは脇目も振らずに木と格闘していた。
なにしろ、
これを仕上げないことには単位がもらえないのであるから、
学生たちも必死にならざるを得ない。
ま、学生のほとんどは真面目な男の子たちなのだが、
休みがちな学生が一人だけいる。
講義を受ける態度もいい加減といえばいい加減。
訊くと、
私の講義だけではなく、他の教授陣の講義にも興味が持てない、と言う。
課題を出されても、何から何をどう処理したらいいのか、
その方法すら思いつかない、と言う。
「課題を仕上げへんかったら単位はやられへんで」、と言うと、
「何とかなりませんか」、と交渉してきやがる。
「君はアーティストを目指すより、商売人を目指した方がええんとちゃうか!?」、と言うと、
「はぁ、皆からそう言われますわ」、と平然と答えやがる・・・。
「君なぁ、君がどこかの会社に就職したと仮定してみようや」
「な、会社に行くのは嫌い」
「上司の命令を聞く耳は持たない」
「しょっちゅう無断で欠勤する」
「それでも給料は欲しい」
「な、君のとってる態度はそれと同じや」
「働かへん奴に給料はやられへんねん!」
「分かったか?」
「分かったらサッサと課題に取り掛からんかい!」
ナイフの研ぎ方、木の削り方、からくりの仕組みだけではなく、
学生たちにはいろいろなことを教えなければならない。
是く言う私にもずいぶんといい加減な部分がある。
いろいろなシーンで、
「自分のことは棚の上に置きやがって!」、
などと陰口を叩かれているのは十分に承知之助、なのではあるが、
芸工大の講義に限って言えば、
私は講師であり、学生たちは学生である。
決して同格ではない、のである。
「先生も結構いい加減やんか」、などと言われた時など、
「そやから何やねん?」、で済ませてしまうに限るのであるね。