■ 右回り・左回り

aquio2008-02-01

三年前、次男のSがイタリア料理の店を持った時、
その開店祝いに作ってやった振り子時計。
古物商から昭和初期に作られた振り子時計を買い求め、
ボロボロに腐っていた箱を作り直した。
イタリアの国旗の色をなぞり、
箱の内側を赤、時計の短針と長針を白、
箱の外側と振り子を緑に塗った。
油を注したりしてムーブメントも調整した。
先ほど、
「時計の調子が悪いねん」、という連絡を息子から受ける。
コチコチと音を立てて時を刻む振り子時計が珍しいのだろう、
動いている振り子を止めてしまう人が後を絶たない、という。
振り子を左右どちらかに動かしてやれば、
振り子はまた同じ周期を保ちながら動き始めるのだが、
しかし、その簡単な仕組みすら分かっていない人が多いらしい。
止めてしまったら止めてしまったでいいのだが、
「振り子を止めてしまいました」
「すみません」、と言ってくれる人はとても少ない、という。
従って、振り子は止まったままになっていることが多いらしい。
英語で「右回り」のことを「CLOCLKWISE/クロックワイズ」という。
「左回り」は「COUNTERCLOCKWISE」、または「ANTICLOCKWISE」。
つまり、「左回り」のことを「反右回り」、と表現する。
英語には「左回り」を意味する独立した単語がない。
このことからも分かるように、
「回す」という作業は、基本的には「右回し」なのであるね。
しかし、今、この「右回り・左回り」の概念を持たない子どもが増えてきている。
子どもたちに動くおもちゃの作り方を教えている時、
「右回しってな、時計の針が回る方向やねん」、と教えたら、
「おっちゃん、うちの時計はデジタルやから針ないねん」、と言いやがった。
「右回り・左回り」は知らないが、大人をおちょくることは知っておったな・・・。
時計の調整を終え、
「よっしゃ、これで直った!ちょっとネジ巻いてみ」、
とフロア担当の女の子に言ったら、ネジをいきなり左に巻きだした。
「違うねん、ネジは右に巻かなあかんねん!」
「エッ?」
「右回しってな、時計の針が進む方向にネジを回すってことやねん」
「エッ?」
「もうええわ、俺がするから」
ヤレヤレ、なのであるね。