■ 息子

aquio2008-03-14

三男のSと久しぶりに会う。
JR三宮駅の中央口で待ち合わせていたのだが、
あれこれ残務を片付けているうち、
息子との約束の時間が迫ってきてしまった。
急いで出かけたところで、
約束の時間には間に合いそうにもない。
で、私のアトリエで会うことにした。
久しぶりに会うSは、
顔つきも、身体つきも、少し引き締まって見えた。
美味い軍鶏鍋を食べさせる店に出かけ、まずはビールで乾杯。
軍鶏鍋をつつきながら、お互いの近況を語り合う。
こいつも一人前に酒を飲める歳になった。
万感こもごも到る、とはこのことを言うのだろう・・・。
酒を酌み交わすうち、すっかり酔ってしまった。
車を運転するワケにはいかない。
タクシーを呼び、馴染みのカフェでコーヒーを飲む。
酔いを醒まそうと、夜道を少し歩いた時に気付いたのだが、
Sは、私とまったく同じ歩幅で歩く。
肩の揺れ方も、ほとんど同じ。
そういえば、次男のSは私の父とまったく同じ歩き方をする。
家族とは面白いものであるなぁ・・・。
私のアパートに帰り、夜が更けるまでいろいろと話し合う。
「今の仕事は自分に合っているように思う」
「しかし、どこかに違和感を感じている」、と言う。
「違和感を感じる原因はどこにあるのか?」、と訊くと、
「分からない・・・」、と答える。
昔、「野坂昭如」が歌っていたコマーシャル・ソングに、
「ソ・ソ・ソクラテスプラトンも、み〜んな悩んで大きくなった」、というのがあった。
Sも大いに悩めばいいのだ、と思う。
人間誰しも悩みの一つや二つは持っているものである。
もっとも、いつまでも悩んでばかりもいられないのだが・・・。
「明日は九時四十分発のバスで大阪に帰る」
「部屋に戻って着替えた後、大阪の街に出かける」、と言うので、
「デートか?」、と訊くと、
「ウフフ・・・」、と笑いながら右手を出しやがった。
「小遣いをよこせ!」、というサインであった。