■ à la Campagne

aquio2008-03-25

人間ついていない時はとことんついていないもので、
長年連れ添った亭主と別れる破目になるわ、
五年も勤めた会社を辞めることになるわ、
あげくは、ヤクザの乗った車と接触事故を起こすわ・・・と、
ここ数ヶ月というもの、Nさんは本当についていなかった。
貧乏神と疫病神にすがりつかれたような状態であった。
「頑張れNさんパーティ」が開かれることになり、
いつものカフェに、Bさん、Hさんらが集まる。
お酒なら何杯でも飲めます的顔つきのNさんだが、
実は大の甘党であるらしい。
で、パーティにはプリンを持っていくことにし、
三宮の「à la Campagne」に出かける。
このカフェのプリンは本当に美味い。
小さな琺瑯カップの中にプリンが入っているのだが、
カップには、3とか6とか8とかの数字が印刷されていて、
プリンを食べた後のカップは、
濃いコーヒーを入れるデミタスに利用できたり、
絵の具を溶く皿の代わりになったりするから、とても重宝する。
プリンだけではなく、その他のケーキ類もなかなかにいける。
場所は東急ハンズの斜め向かいの辺りだが、
たしか、トア・ロードの東側にも支店があったように思う。
ハンズで買い物をした後など、私はよくこの店でカフェオーレを飲んだりすることがある。
今から二十年ほど前、
「Un Dimanche à la Campagne / 田舎の日曜日」という題名の映画があった。
監督は「ベルトラン・タベルニエ」。
パリから汽車で一時間ほどの田舎に住む老人の、
その朝から夕暮れまでをただ淡々と描いた映画であったが、
私はこの映画に特別な思い入れがある。
で、まぁ、ついつい「à la Campagne」にも足が向いてしまうのだ・・・。
よほど美味しかったのだろう、Nさんはプリンをペロリと二つも食べてしまった。
皆に励まされ、少しは元気が出たみたい。
良かった良かった。