■ 端材

aquio2008-03-26

「遊びと玩具研究会」のTさんから、
「材木の端材があったらくれない?」
「ワークショップに使える端材が欲しいの」
「できるだけたくさんね!」
「いい、分かったわね!?」、という電話がかかってくる。
頭が上がらない存在などほとんどない私だが、
このTさんにだけは頭が上がらない。
Tさんは私の姉のような存在であり、
この歳になっても、お会いする度にお小言を頂戴する。
Tさんからの依頼は、
「へっへー、お申し付け確かに承りました」、
とただただ平身低頭の体で受けるしかないのである。
いつからこんな関係になってしまったのだろうか。
おっかしいなぁ・・・、なのである。
アトリエの掃除を兼ねて整理してみたところ、
段ボール箱四箱分の端材が出てきた。
表面にひびが入ってしまった歯車、
断面の仕上げが悪いカム、
ピンとピンの間が不揃いであるピン面歯車、
微妙に歪んだ板・・・等々がゾロゾロと出てくる。
使い物にならないピン面歯車を眺めながら、スタッフであったS君のことを思い出す。
新しいスタッフを雇い入れる時、
そのスタッフの技量を見極めるため、
私は同じ部品をいくつも作らせることにしている。
直径二ミリ、長さ二十ミリの細い軸を、
何枚もの円盤の、その同心円上に等間隔に植えつける、という作業。
スタッフの根気と集中力、そして応用力を知るためのテストなのだが、
スタッフのほとんどはここで挫折してしまう。
疲れてくると、軸の長さが不揃いになったり、
ピンとピンの間隔が同じでなくなっていく・・・。
集中力が途切れてしまうのだ。
集中力のない人間に集中力の要求される仕事は任せられない・・・。
岡山のアトリエにはもっとたくさんの端材があったはず。
アトリエの掃除を兼ね、
できるだけたくさんの端材をお送りすることにしよう。