■ 整理・その24・SEYMOUR CHWAST

aquio2008-04-30

からくり人形を制作する過程において、
君に大きな影響を与えたデザイナーはいるか?
いるとしたら、それは誰か?
個展会場などでよく質問される内容である。
アトリエにフラリと入ってきたHさんに、
今日もまた同じような内容の質問を受ける。
「影響を受けたからくり人形師はいない」
「しかし、イラストレーターならいる」、
といつもそう答えるようにしている。
前の日記に「宇野亜喜良が好き」、と書いたが、
彼の描くイラストレーションは、
耽美的でありながらもどこか退廃的であるから、
どうしても馴染めない部分が、私にはある。
宇野亜喜良」もそうだったが、
鴨居玲」の絵を初めて見た時も、
胸を抉られるような衝撃を受けたものだった。
今の私に「鴨居玲」の絵を買うほどの経済力はないが、
仮にあったとしても、
それを購入するなどということは絶対にあり得ない。
宇野亜喜良」のイラストレーションと「鴨居玲」の絵。
その作風はまったく違うが、
二人の描く絵には、ある種の「病」のようなものを感じてしまう。
からくりの制作において、
私に大きな影響を与えたイラストレーターといえば、
「SEYMOUR CHWAST / シーモアクワスト」だろうな。
機智に富んだ、とでも表現すればいいのだろうか、
鋭い知性のようなものを、彼のイラストレーションからは感じる。
上品なおかし味と、上質な洒落も感じられる。
「表現とはこうありたい」、と常にお手本にしてきた。
しかし、その人間の思想や哲学といったものが表に現れるのであるから、
その表現をそっくり真似たところで、
出来上がったモノは似て非なるモノでしかない・・・。
ま、そのあたりが難しいところではあるね。
今から十八年前、一九九〇年の「EARTH DAY」のために描かれたイラストレーション。
右手に箒、左手に「REDUCE REUSE RECUCLE」と書かれた銘板を持った自由の女神像
私の大好きな「シーモアクワスト」の作品の一つ。
一九九七年、「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」から出版された「世界のグラフィックデザイン」。
その三十一号「SEYMOUR CHWAST」の特集号に掲載されている。