■ 殺人カメラ

aquio2008-05-26

ロッセリーニ」が五十年ほど前に制作した
「殺人カメラ」を観る。
港町の写真屋が、
その姿を撮られた人間は必ず死ぬ、というカメラを手に入れる。
国中を破滅させる目的で、
下級の悪魔である「ハルハニキオ」が発明したカメラだった。
そのカメラを使い、
写真屋は町内の悪人たちを次から次へと殺していくのだが、
映画の最後のあたり、
写真屋と「ハルハニキオ」のやり取りがとても面白い。
「お前が発明したカメラのおかげで六人の人間が死んだ」
「もう俺の魂は救われない」、と訴える写真屋に対し、
「死んだ後、地獄に落ちる人間は一人もいない」
「神はお人よしだから、人間をすぐに助ける」
「善行を一つ積むだけでいい」
「後悔するだけで神は人間をすぐに許す」、と「ハルハニキオ」が答える。
「どうしてこんなカメラを発明したのだ?」、と問う写真屋に対し、
「地獄にも能力の査定がある」
「この殺人カメラの発明で出世したかった」
「地獄で俺は目立ちたかった」、と「ハルハニキオ」が答える。
「死んだ人間を生き返らせることはできないのか?」、と問う写真屋に対し、
「下っ端とはいえ、これでも俺は悪魔だ」
「死人を生き返らせることなど造作もない」
「しかし、そんなことをしたら地獄に帰ってから面倒なことになる」、と「ハルハニキオ」が答える。
十一万三千年も生きている悪魔の「ハルハニキオ」だが、
最後は写真屋の説得に従い、悪魔の不滅を捨てて人間として生きていくことを決意する。
「神はお人よしだから、人間をすぐに助ける」
「後悔するだけで神は人間をすぐに許す」、という件では大笑いしてしまった。
イタリアが生んだ世界的な組織が二つある。
ローマ・カトリック」と「マフィア」。
ローマ・カトリック」が「善」の団体であるかどうかは知らないが、
「善」と「悪」、対立する二つの世界組織が同じイタリアから生まれたことを思えば、
この映画の内容は大変に興味深いものがある。