■ パンズ・ラビリンス

aquio2008-07-04

「EL LABERINTO DEL FAUNO」、
英題「PAN'S LABYRINTH」を観る。
映画は、主人公である少女「オフェリア」が、
口から血を流して息絶えようとしているシーンから始まる。
ナチス・ドイツとイタリアが支援した「フランコ」と、
ソ連が支援した「人民戦線」の戦い、
いわゆる「スペイン内乱」は「フランコ」側の勝利に終わるが、
「人民戦線」の残党狩りと粛清が行われていた頃、
「オフェリア」は身重の母とともに、
フランコ」側の軍人「ビダル大尉」が支配する基地に向かう。
「オフェリア」にとって「ビダル」は義父にあたるのだが、
この「ビダル」は人を人とも思わない冷酷な軍人。
ビダル」は生まれてくる子どもだけに興味を示し、
「オフェリア」のことを疎ましく思っている。
過酷な時代であったからか、
「オフェリア」はファンタジーの世界と現実の世界を行き来する毎日を送っている。
ファンタジーの世界では、「オフェリア」は地底世界の王女であり、
そこには、死も苦痛も戦争も存在しない・・・。
物語は省略するが、
最後のシーンで、「オフェリア」は「ビダル」に撃たれてしまう。
「オフェリア」の指先から流れた血が迷宮に届いたことで、
「オフェリア」は地底世界に戻ることができるのだが、
そこには、死んだはずの父や母が、王、女王として君臨していた。
その幸せなシーンは、
「オフェリア」が死ぬ寸前に見たファンタジーであったのだろうが、
私には、それまでのすべての物語が、
死ぬ寸前の「オフェリア」が観たファンタジーであったように思えてならない。
過酷な現実世界における死がファンタジーの世界の生に繋る。
見方を変えれば、
「オフェリア」は幸せのうちに死んでいった、ともとれるな・・・。