■ 蚊

aquio2008-07-31



昔、「砂川捨丸・中村春代」というコンビの漫才師がいた。
「捨丸」の「え〜、漫才の骨董品でございましてぇ」、
というフレーズから始まる漫才は、本当に面白かった。
舞台の「捨丸」はいつも紋付と袴のスタイルで、
左手にはいつも小鼓を携えていた。
また、「中村春代」もなかなかの美人だったな。
夏の舞台では、
「蚊帳の外へと足差し出せば 楠正成ここにあり」
「足蚊が攻めるじゃないかいな」、
と笑わせてくれたものだった。
つまり、「楠正成を足利尊氏が攻める」という意味。
このアパートに住んで五年が過ぎようとしているが、
蚊が室内に入り込んできたのは、初めてのこと。
どこから飛んできたのか、
一匹の蚊が耳の辺りを羽音をたてながら飛び回る。
手で振り払うと、しばらくは鳴りをひそめているのだが、
いつの間にか舞い戻ってきては、また耳の辺りを飛び回る。
窓を閉めればいいのだが、
それでは六甲山からの風が部屋に入ってこない。
明かりを点けると蚊の姿はどこにも見えない・・・。
で、布団に潜りこんでしばらくすると、
また、耳の辺りで「プ〜ン」という羽音が聞こえる。
なかなかにやるではないか!
「肉を切らせて骨を絶つ戦法」で退治することにした。
寝たフリをして蚊を耳に止まらせ、
蚊が耳に止まった瞬間を見計らって叩いて殺す、という戦法。
うまくいった。
今朝は右腕の上腕部に痒みを覚えて眼が覚める。
蚊に刺されていた。