■ オルゴール

aquio2008-08-04

今から十八年前に、
弘前にお住まいのTさんの依頼でお作りしたオルゴール。
今日、そのオルゴールが戻ってきた。
「修理の依頼かな?」、と添えられていた手紙を読むと、
「十八年前に孫娘へのプレゼントとして作ったいただいたもの」
「その孫娘も立派に成人し、今は社会人として働いている」
「思い出の品だが、もう誰も手にすることはなくなってしまった」
「作っていただいた方にお戻しするのがいい、と判断した」
「そちらのコレクションに加えていただきたい」
「このオルゴールのためにはそれが一番いいように思う」、
とそこには書かれていた。
また、「ご連絡はご無用に願います」、とも書かれてあった。
大事に使われていたのだろう、
オルゴールには傷一つついていない・・・。
使われなくなった後も、
きっと大事に保管されていたに違いない。
いつかはそのお嬢さんも結婚されるだろうし、
いつかはそのお嬢さんに子どもが授かることもあるだろう。
そのお嬢さんが持っていてくださればいいのに、と思うが、
「連絡は無用」ということであるから、それ以上は詮索しないことにした。
しかし、それではこちらの気が済まない。
いろいろと考えた末、
コウノトリ」のオルゴールをお送りすることにした。
マッチ箱のラベルに赤ちゃんのイラストが描かれていて、
マッチ箱の中箱をスライドさせると、
オルゴールの音とともに箱の中から「コウノトリ」が現れる、という仕掛け。
十年ほど前にデザインしたオルゴールだが、
今は「ザイフェン」に住むおもちゃ職人、
「WOLFGANG WERNER / ヴォルフガング・ヴェルナー」が作ってくれている。
オルゴールの曲は何がいいだろうか?
ブラームスの子守唄」はどうだろう?
シューベルトの子守唄」もいいかもしれない。
どちらにしても、明日中には手紙を添えてお送りすることにしよう。