■ 煙草
超党派でたばこ増税を検討している
「たばこと健康を考える議員連盟」の皆様が、
煙草一箱につき、
二倍から三倍の価格引き上げを念頭に
いろいろと調整を進めてくださっているらしい。
明治時代、
東京の銀座に「岩谷」という号の商店があった。
その商店主の名前は「岩谷松平/いわやまつへい」。
彼は「天狗」ブランドの煙草を販売する豪商であった。
彼は何十人もの愛人を自宅に囲い、
その愛人たちとの間に何十人もの子どもを作ったらしい。
奇行で名高い人物であったらしいが、
商才にも長けた人物でもあった、という。
しかし、時の政府の専売化政策により、
煙草の製造と販売は政府の専売事業となってしまい、
「岩谷」は商売替えを余儀なくされてしまう。
煙草の売り上げと税金は日露戦争の戦費に充当されたのだった。
日本専売公社が民営化され、
「JT / 日本たばこ産業」へと、その名を変えたのはいつのことだったろう。
「原料の価格が上昇したから末端価格も上げざるを得ない」
「流通のコストが上がったから値段を上げざるを得ない」、
などという理由であれば価格の改定も納得できるが、
増税のための価格改定というのは、どう考えてもおかしい。
いったい、その増税分は何に使われるのか・・・?
その昔、日本に初めて「消費税」という概念が持ち込まれた時、
時の政府は「消費税は国民の福祉のために使います」、とそう約束したはずではなかったか。
しかし、国民への福祉が充実したという実感は、
あれから十九年が過ぎようとする現在においても、どこにも無い。
為政者が国民から税金を取り立てようとする時、
為政者は「健康」「福祉」「幸福」、とか耳障りのいい言葉を並べ立てるものである。
ま、そんな美辞麗句に踊らされるほどこちらも初心ではないが、
踊らされる輩が多いとくるから、嫌になってしまう。
どことなく世界中にきな臭い気配が漂い始めている現代において、
煙草の値段を上げるなら上げるでいいが、
税金は真っ当なことに使っていただきたい、と強くそう思う。