■ 帰省列車
Pホテルにおける仕事を終えた後、
Pホテルの送迎車に乗り込み、新神戸駅に向かう。
今日は東京に向かわなければならない。
新神戸駅の構内は帰省客でごった返していた。
掲示板を見ると、どの列車も満席の状態だった。
仕方がないから、東京までの自由席特急券を購入し、
新大阪発の「こだま」に乗り換えることにしたのだが、
列車が到着して驚いた。
デッキにまで人が溢れていて、人一人分のスペースすらない。
なんとか場所を譲っていただくことで乗り込めたが、
新大阪駅で降りてみて驚いた。
プラット・ホームにはこぼれ落ちんばかりに人が溢れていた。
「こだま」に乗り込んだところで、
これでは空席を見つけられるはずもない。
「こだま」に乗ることを諦め、
次の「のぞみ」で東京まで立っていくことにした。
乗り込んだ「のぞみ」のデッキには少しのスペースがあった。
キャリー・バッグの中から本と眼鏡を取り出し、
キャリー・バッグの上に腰を下ろす。
バッグの取っ手が尻の割れ目の辺りに当たって痛い。
バッグの中から下着を入れた袋を取り出し、座布団代わりに尻に敷く。
回りに立っている人々は、「座れていいなぁ・・・」、というような眼つきで見ておったぞ。
窮屈ではあったが、これはこれで慣れれば快適。
若い頃には、青森に向かう列車の床に新聞紙を敷いて寝たこともあったし、
旭川では、駅舎のベンチで一晩を過ごしたこともあった。
九州の鳥栖の駅舎では、
駅員に身体を揺り動かされて眼が覚めた、ということもあったな・・・。
バッグに腰をかけて移動することなど、私にとってはいかほどのことでもないが、
まさかこの歳でこのような旅をするとは思ってもいなかった。
柿の種をポリポリ齧りながらビールをチビチビ飲む。
「パーカー」の新作「背信」を読んでいるうち、「のぞみ」は東京駅に到着。
アッという間の二時間半であった。