■ 整理・その43 / The Sleeping Beauty

aquio2008-08-26

アメリカの「Intervisual Communications,Inc.」は
ジグソー・パズルや仕掛け絵本を手がける会社として有名だが、
その「Intervisual Communications,Inc.」が
一九七五年に出版した仕掛け絵本
「The Sleeping Beauty / 眠れる森の美女」。
リボンを解くと、
本はパラパラ・・・と三百六十度に開き、
「眠れる森の美女」のシーンが五分割されて現れる、
という仕掛けになっている。
この「眠れる森の美女」の仕掛け絵本は、
「Intervisual Communications,Inc.」が出版した
十数種類の「A Peepshow Book / 覗きからくり絵本」の内の一つ。
さて、この「眠れる森の美女」の物語だが、
グリム版「眠れる森の美女」では、
王女の誕生祝いに招かれた魔女の数は十二人であり、
パーティに招かれなかった十三人目の魔女が呪いをかける、と設定されていたはずだが、
この仕掛け絵本では、
「and seven good fairies were invited to be her godmothers」と記されていて、
確かに、絵本の中でも七人の魔女らしき人物が描かれている。
魔女の数から推測するに、どうやらこの仕掛け絵本は、
あの「長靴をはいた猫」の作者である
シャルル・ペロー」が著した物語を下敷きにしているようであるな。
「ペロー」版「眠れる森の美女」と「グリム」版の「眠れる森の美女」では、
その内容にかなりの違いがあるが、
確か、眠り続ける王女に性的行為に及んだ王子様もいて、
眠り姫は眠ったままで双子を出産してしまう、などという類話もあったように記憶している。
さて、この仕掛け絵本では、
「姫は王子様のキスを受けたとたん笑顔で目覚めた」、などと書かれているが、
目覚めたとたんに見知らぬ男の顔が間近にあったのであれば、
まずは驚くのが尋常な反応ではないだろうか・・・!?
実は、眠り姫はとっくの昔に目覚めていて、
金持ちのいい男がやって来るまで薄目を開けて狸寝入りをしていた、などという類話もある。
きっとそうなんだろう。
そうでなければ、「キスを受けたとたんに笑顔で目覚めた」なんてことにはならない。
話の辻褄が合わないのであるが、
ファンタジーの世界のお話であるから、ま、「何でもあり」ということにしておこう。