■ からくり塾・その4
今日は月に一度の「からくり塾」の開催日。
三年前から始めた「からくり塾」だが、
皆さん相当に腕を上げてきていらっしゃるから、
細々とした指示はほとんど必要としない。
講師としてはこんなに楽なことはないね。
皆さんには「制作の骨の骨」をお教えしますと約束したが、
もうすでにその「骨の骨」を会得した方もいらっしゃる。
会得した方々が初心者の方々を教えてくださるから、
講師としての出番が少なくて済む。
時間を持て余すようになってしまうのだ。
いきおい、事務室にサボリに向かう回数が増え、
ついつい煙草に手が伸び、コーヒーを飲む回数が増えていってしまう。
「からくり塾」は身体にとても悪いような気がするな。
冗談はさて置き、
皆さん、真剣に作業に没頭されていらっしゃる。
お昼の時間が過ぎても、誰一人として作業場を出て行こうとはなさらない。
その集中力たるや・・・。
今の私にはあのような集中力はすでに無いが、
昔は、気がついたら夜が明けていた、などということもあったような気がする。
時間を忘れ、手間隙を惜しまず作り上げたモノには、
愛着もひとしおであるに違いない。
しかし、来年は何を作ってもらえばいいのだろうか。
三年前から徐々に制作の難易度を上げてきたが、
ここまで皆さんの腕が上がってしまうと、
もっとも、それが主眼の「からくり塾」なのだが、
今よりも更に難しい技術を要求されるものでなくてはならない。
また、部品の点数も多くなくてはならないだろうなぁ・・・。
かねてより、「いつかは作ろう」と決めていた作品が一つある。
「FLYING MACHINE no.1」がそれ。
多分、部品の総数は五百個を超えるのではないだろうか。
からくりを作動させるためには、部品の一つ一つに精度が要求される。
「FLYING MACHINE no.1」を作ることにしようか・・・。