■ ナックル
右手を支えに寝床から起き上がろうとした時、
右肘の内側に激痛が走る。
上体を支えきれずに布団の上に倒れこんでしまった。
昨日はK芸工大に出かけていたのだが、
休み時間に、Kちゃんとキャッチボールをしたことを思い出す。
高校時代、Kちゃんはソフトボールの選手であったらしく、
男勝りの重い直球を投げてよこす。
で、ついつい向きになってしまった・・・。
昔、長野県の白馬村に住んでいた頃、
私は草野球チームのピッチャーであった。
チームの名前は「FIVE DRAGONS」。
草野球チームの一員であった頃、
私の決め球は「ナックル」であった。
親指と小指、二本の指でボールを握って投げる、という投法。
ボールがほとんど回転しないから、
バットに当たってもボールはさほど遠くには飛んでいかない。
また、ボールは投げた本人も予測できない動きをするから、
バッターにとっても打ちにくい球といえる。
昔、阪神タイガースに「渡辺省三」というピッチャーがいた。
彼が投げる「ナックル」は「省やんボール」と呼ばれていて、
子どもの頃には、よくこの「省やんボール」の投げ方を真似て遊んだものだった。
で、肩が温まった頃を見計らい、
Kちゃんに向けて「ナックル」を連投してみた。
成功率は二割、といったところだったな。
うまく決まると、ボールはホームベースの手前あたりからストンと落ちる。
球のキレやスピードは昔に比ぶべきもないが、
この歳になってもカーブや「ナックル」がまだ投げられる。
そのことがたまらなく嬉しかった。
で、ついつい調子に乗ってしまった・・・。
そのせいで、今日は朝から右肘と右肩が痛くってしかたがない。
妻にそのことを告げると、
「年寄りの冷や水やね」、と一笑に付されてしまった。