■ タイミング

aquio2008-10-11

近頃とんと物覚えが悪くなってしまった。
親しい間柄にでもならない限り、
名前はおろか、
その人の顔すら忘れてしまっていることがある。
アトリエのガラス扉の向こう側から、
若い女性が私に向かって会釈を寄こす。
「はて、誰やったかなぁ・・・?」、と訝しんでいたら、
彼女は中に入りたいような仕種を見せるではないか。
若い女性はいつでも大歓迎であるから、
私の方から扉を開けに行くことにした。
初対面の女性であった。
話を伺うところによると、
現在は京都のR大学で経済を学ぶ学生だが、
手仕事の世界で働きたいという希望があるらしい。
以前は「皮」の世界に飛び込んだこともあるらしいが、
どうにも馴染めなかった、という。
で、木のおもちゃの世界で働きたい、と仰るのだ。
過日、「週末の探検家」という番組で
私の仕事ぶりを紹介していただいたことがあったが、
どうやら、その番組の内容に大きな影響を受けたらしい・・・。
しかし、あの番組で紹介されたことは私や私の職場の一部ではあるが、
全部では、決してない。
「勘違いされているのではないか!?」、と問いただしたが、
彼女の決意はとても固いものがあった。
彼女はR大学の四年生であるが、
学業を途中で放り出してでも、木の仕事に就きたいと言う。
「そこまで仰るのなら」、ということで、
この二十二日から出勤していただくことにした。
彼女の熱意に絆された、ということになるが、
どうも、彼女の熱意は本物であるような気がするなぁ・・・。
今、新しいショップを西宮に出すという計画が進んでいる。
そのため、職場では新しいスタッフを募集しようとしているところであった。
なんとタイミングのいいことか。
すでにほとんどの単位を取得しているとかで、
大学には週に一度ほど通えばいい、ということになっているらしい。