■ 三たび・フジタニ画伯
あの有名な「フジタニ・ニテハル画伯」が、
「飯室康一」さんを伴って有馬温泉にいらっしゃる。
「飯室」さんは日本の伝統的な糸操りの人形師。
「旅の途中で財布を失くしてしまった」
「パリに帰るための旅費を稼ぎたい」、
確か、前回と前々回はそのような触れ込みであったが、
驚いたことに、
今回は写真のように美しいモデルを伴っての来日であった。
その脚はあくまでもスラリと長く、
その胸はあくまでもムッチリと豊満。
そして、その髪はまるで羽のように軽やか・・・。
いったいどこでこのようなモデルを見つけられたのであろうか。
前回の来日は今年の八月であったが、
わずか三ヶ月ほどの間に、
画伯の腕は相当に上がったように思える。
前回は「紺」単色であった色使いが、
今回は三色にまで増えている。
濡れた紺色の上に黄色い絵の具を塗りたくったりするものだから、
紺と黄が合わさって、混じった部分が緑色になってしまう。
濡れた紺色の上に赤い絵の具を塗ったりするものだから、
色が合わさった部分がばばっちい茶色に変色していってしまう。
もっとも、それもこれも最初から計算済みのことなんだろうけどさ・・・。
画伯には午前十時から午後五時まで登場いただいたのだが、
その周りには常に黒山の人だかりができていた。
今、「飯室」さんは新しい人形劇の構想に取り組んでいらっしゃるらしい。
題名などは未定だが、
番町皿屋敷にお勤めの「お菊さん」、四谷にお住まいの「お岩さん」、
そして、出歩く時には必ず牡丹灯篭を持ち歩くという「お露さん」。
新しい人形劇にはこの三人が登場する、という。
どうやら怪談劇のようであるらしいから、
その人形劇の舞台をお寺の本堂にでもご用意しようか、などと考えている。