■ 息子

aquio2008-12-05

午前十一時、
MIKIMOTO」における記者会見が無事に終了する。
会見中は咳も出ないでいてくれた。
午後二時、銀座のソニー・ビルで長男のDと会う。
一階のレストラン「カーディナル」では、
「マキシム」が作るミルフィーユが食べられるのだが、
Dはこのミルフィーユが大のお気に入りであるらしく、
銀座で会う度に、彼はこのミルフィーユをむさぼるように食べる。
Dは東京でイラストレーターの職に就いているが、
ANAのフライト・アテンダントの人形のデザインをしたりと、
ま、いわゆるオタク相手の仕事をすることがとても多い・・・。
「父親には自分の仕事や存在を否定されている!」、
と、つい最近までDはそのように思い込んでいたようなフシがある。
過日、Dの友人と名乗る二人の若者が私の職場を訪れてくれたことがあった。
息子に対する父親としての想い、
息子の仕事に対する父親としての想い・・・。
それらを二人の青年に告げたことがあったが、
多分、その言葉が彼らの口を通じてDに伝わったのだろう、
以後、私に対するDの態度がすっかり改まる、という出来事があった・・・。
今日も、「お母さんは元気?」、
「往復の旅費を出すからお母さんには一度僕のマンションに泊まりにきて欲しいな」、
などと殊勝なことを言ってくれる。
親子とはいえ、お互いがお互いを理解するには時間がかかるものであるが、
理解し合えれば、すべてのことは水に流せてしまえる。
息子と別れた後、「MIKIMOTO」に戻って来客の相手に専念する。
午後五時、猛烈な寒気に襲われる。
宿に帰って計ってみたら、体温は三十七度を少し超えていた。
今夜はP社のIさんらと飲み会の約束があるのだが、
「どうしよう・・・?」、などと考えているうち、
前後不覚に陥ってしまった・・・。