■ 不器用元年

aquio2004-10-12

昭和三十五年、
今から四十四年前の今日、
社会党委員長であった「浅沼稲次郎」が刺殺される。
浅沼稲次郎を刺したのは、
右翼思想に傾倒していた「山口二矢/やまぐちおとや」。
当時、山口二矢はまだ十七歳の少年だった。
その暗殺のシーンは繰り返しテレビで放映された。
浅沼が胸を刺された時、
浅沼の顔から黒縁のメガネがずり落ちていった・・・。
そのシーンを今でも鮮明に覚えている。
「東京母の会連合会」は
日本橋白木屋百貨店で緊急総会を開き、
「子どもに刃物を持たせるのは危険」という結論をまとめた。
思想の違う人間は抹殺すべき、という「思想」ではなく、
便利な道具である「刃物」を危険とみなした。
そして、刃物を持たない・持たせない運動が始まり、
全国規模のナイフ狩りが始まる。
小学校の教室から、
鉛筆を削るための小さなナイフが消えていった。
結果、
鉛筆さえ削れない不器用な子どもが増え、
そして、包丁さえ握れない母親が増えていった・・・。