■ 息子・その2

長男のDと会ったのは、 昨年末の十二月五日のことだった。 その日の日記にも書いたが、 Dはオタク相手のイラストなどを描いて生計を立てている。 「Yahoo!」などに息子の名前を入れて検索してみると、 約二十万件ほどもヒットするから、 ま、その世界では…

■ キツネとタヌキ

私が母方の祖母と暮らしていた頃。 今から五十三年ほども前のこと。 祖母が住んでいた里山には キツネやタヌキもまたたくさん住んでいた。 ある夏の日、 隣の婆さんが息急き切って飛び込んできたことがあった。 「畳と畳の合わせ目から人間の親指が出てきた…

■ 文鎮

刀鍛冶でいらっしゃるМさんのお嬢さんにお会いしたのは、 まだ彼女が小学五年生の時であった。 次にお会いしたのは、 彼女が大学受験を控えていた時であるから、 十八歳、ということになるか。 そういえば、五年前にも一度お会いしているな。 昨年末、そのお…

■ カレンダー

年末ともなると、 取り引き先や銀行からカレンダーを頂戴するのだが、 今年はそのカレンダーを一冊も頂戴していないことに気付く。 カレンダーの数え方は「冊」でよかったのかな・・・? 昨今は不景気であるから、 企業がカレンダーの配布を止めてしまったの…

■ お正月

元旦の「旦」の字は、 地平線、または、 水平線から太陽が昇ってくるシーンを表した文字である、 とそう誰かに教えられた憶えがある。 「元」の意味は「はじめ」、つまり「beginning」。 「旦」の意味は「朝」、つまり「morning」。 なるほど、よくできてい…

■ ももひき

中国の某ファッション誌の編集長の、 「ももひきを穿くのは格好が悪い」 「欧米では笑いものにされている」、 という発言が国中で物議をかもしているらしい。 今から四十年ほど前のことであったと記憶しているが、 日本においても、 「男のももひきほど格好…

■ キムチとすぐき

今回の旅のお土産は、 「Kriepa」のティッシュ・ペーパー一ダース。 「Dallmayr」の新商品であるらしい 「エチオピア・ブレンド」のコーヒー五袋。 「AJONA」の錬り歯磨き四箱。 そして、不味いと評判の高い 「Pulmoll」のクラシック・キャンディを三缶。 「…

■ München / ミュンヘン二日目

皆さんが市内観光に出かけていらっしゃる間、 ホテルでゆっくりと休ませていただくことにする。 摂食障害を起こしているからか、空腹をほとんど感じない。 午後一時、 カンパリ・オレンジが無性に飲みたくなり、 マリエン・プラッツのラーツ・ケラーまで出か…

■ München / ミュンヘン

今日はバスでイエナまで移動し、 イエナからICEでミュンヘンまで行くことになっていたが、 皆さんの荷物の量の多さに驚いてしまった。 この時期、ヨーロッパの列車は、 日本におけるお盆の帰省列車のような様相を呈する。 列車がイエナに停車する時間はわず…

■ Seiffen / ザイフェン二日目

午前十時、ザイフェンの玩具博物館に向かう。 館長のコンラッドが館内を案内してくれることになっているが、 会っていきなり、 「今日は時間がない」 「もうすぐ出かけなければならない」、と言う。 ドイツ人の律儀さなんだろうが、 彼が約束を破るようなこ…

■ Seiffen / ザイフェン

プラハからザイフェンに向かう。 今日は午後三時から、 「Wolfgang Werner / ヴォルフガング」の アトリエを訪問することになっているが、 日本で言うところの、 いわゆる「仕事納め」は昨日の日曜日であったはず。 今日は私たちのために、 わざわざアトリエ…

■ Krteček / クルテク

今回の旅行は、 西宮や宝塚の幼稚園の園長さんたちとのツアー。 皆さんはプラハ城やカレル橋の見学に出かけていらっしゃる。 皆さんの引率はYさんにお任せし、 私はホテルの部屋で休ませていただくことにした。 午後二時、 さすがに空腹を覚え、 市内のレス…

■ 関空〜プラハ

関空には午前十時に到着。 ここしばらくの間、 ちゃんとした固形物を口に入れていないせいか、 身体に力がまったく入らない。 軽くまとめたはずの旅行鞄がいやに重く感じられる。 飛行機は定刻どおりに出発。 スキポール空港までの所要時間は十二時間ほど。 …

■ 副作用?

最寄の駅まで車で送っていただき、 地下鉄を利用して新神戸駅まで向かう。 ホテルの部屋で荷物を解き、 下着類やセーター類を区分けして袋に詰める。 と、ここまではよかったのだが、 鞄の鍵をかけ終わったあたりから、 身体の調子がおかしくなり始める。 ど…

■ 準備

明後日からプラハを経由してドイツに出かける。 関空発11:55のKLM868便でアムステルダムに向かい、 アムステルダムからプラハに入る予定。 明日は神戸市内のホテルに泊まり、 明後日の朝、三宮からリムジンで関空に向かうつもり。 旅の仕度も終え…

■ 声

午後一時から神戸芸工大に出かける。 実に三週間ぶりの講義。 今日はピン面歯車を使ったからくりの提出日だが、 学生たちのほとんどが完成間近のところで頓挫していた。 「なぜ動かないか!?」を一つ一つ検証していく。 学生たちと話しているうち、 大きな…

■ NISHIDA AIR

リンさんとデーヴィッドが帰国する。 「奈良に行きましょう」とか、 「美味しい蕎麦を食べに行きましょう」とか、 彼らといろいろと約束していたのだが、 寝込んでしまったせいで、 ほとんどの約束を反故にするような結果になってしまった。 十二月七日は私…

■ リハビリ

一週間ほど寝込んでいたせいで、 足の筋力が萎えてしまったような気がする。 あれだね、熱と咳は体力を消耗させるね。 リハビリを兼ね、 西宮北口の「西宮ガーデンズ」と 神戸の「真珠会館」に出かけることにした。 まずは「西宮ガーデンズ」を訪問。 来年か…

■ 回復?

えらい目にあってしまった・・・。 二日の夜に三十八度七分ほどの熱があったにもかかわらず、 それを無視して仕事を片付けていたら、 六日の夜にとうとう倒れてしまった・・・。 咳と痰と胸痛と三十七度五分を超える発熱。 八日の朝、近くの総合病院にて診察…

■ ダウン

午後の新幹線で神戸に向かう。 身体の震えと咳が止まらない。 新神戸駅から地下鉄に乗ろうとして、 車を神戸空港に停めっぱなしでいたことを思い出し、 三宮からポートライナーで空港に向かう。 今朝は神戸の町にも雪が舞ったらしい。 空港の気温は零度近く…

■ 息子

午前十一時、 「MIKIMOTO」における記者会見が無事に終了する。 会見中は咳も出ないでいてくれた。 午後二時、銀座のソニー・ビルで長男のDと会う。 一階のレストラン「カーディナル」では、 「マキシム」が作るミルフィーユが食べられるのだが、 Dはこの…

■ 搬入

明日から銀座「MIKIMOTO」において、 「ドイツ木工マイスターに受け継がれる匠」展が始まる。 午前九時、「MIKIMOTO」の通用口に関係者が集合。 ザイフェンからの荷物はすでに成田から届いていた。 午前十時、飾り付けの作業開始。 岡山の職場からは「ノアの…

■ 夜間飛行

神戸空港20:00発の スカイマーク116便で羽田に向かう。 窓から見える夜景がとても美しい。 昔、飛行機にはそれぞれの機体に名前が付けられていた。 今から四十年以上も前のこと、 大阪から羽田に向かう深夜便には 「ムーンライト」というロマンティ…

■ 真珠会館

真珠会館から依頼のあったからくりの制作に取り掛かる。 真珠会館は、 あのルミナリエの最終地点にあるレトロなビルだが、 ルミナリエの期間中は、 訪れる来館者の数も半端じゃないほど多いという。 「真珠は人魚の涙」 「真珠は月の雫」、 その二つをコンセ…

■ 完成

新神戸駅から有馬の職場に向かい、 車に乗り換えて「西宮ガーデンズ」に向かう。 H君の頑張りのおかげで、 大型のからくり人形は見事に完成していた。 ただ、完成はしていたが、 もうすでに至るところに破損が見られる・・・。 「ゆっくりとハンドルを回し…

■ 成田

徹夜明けの二十六日、 現場の始末をH君に託しておき、 午後の新幹線で東京に向かう。 心身ともに疲れ果てているから、 グリーン車のチケットを購入することにした。 列車が新神戸の駅を離れる間もなく、 泥のように眠りこけてしまった・・・。 気が付くと、…

■ 徹夜・その2

明日はいよいよ「西宮ガーデンズ」のグランド・オープン。 今日中に現場でからくりを作り上げなければならない。 昨晩中に部材はすべて搬入しておいたのだが、 H君に言わせると、 「まだ出来上がっていない部品が幾つかある」、らしい。 どうやら、H君は昨…

■ バランス

ほとんどの人形の塗装が終了する。 塗装の終わった人形を並べてみて愕然としてしまった。 どうにも鯨のフォルムに違和感がある。 鯨が大きく口を開けると、 その口の中からゼペット爺さんが現れるのだが、 そのゼペット爺さんと鯨のデザイン・バランスがとて…

■ 徹夜・その1

今月の二十六日、 西宮北口駅前に「西宮ガーデンズ」がオープンする。 そのための大型からくり人形の制作を進めているのだが、 今朝、岡山の職場に出勤して驚いた。 この進捗状況ではとても期日に間に合いそうにもない。 駆動部分の制作はH君とT君に任せる…

■ 美の壺

テレビをあまり観ない私だが、 それでも、楽しみにしている番組がいくつかある。 NHK教育の「美の壺」もその内の一つ。 番組のナビゲーターを務める「谷啓」の、 あのとぼけた語りや表情も大いに気に入っているのだが、 実は、多分、これは私と「谷啓」に…