■ バランス

aquio2008-11-23

ほとんどの人形の塗装が終了する。
塗装の終わった人形を並べてみて愕然としてしまった。
どうにも鯨のフォルムに違和感がある。
鯨が大きく口を開けると、
その口の中からゼペット爺さんが現れるのだが、
そのゼペット爺さんと鯨のデザイン・バランスがとても悪い。
その鯨の横で筏に乗って漂流するピノキオとのバランスも悪い。
散々悩んだ挙句、鯨を作り直すことにした。
作り直すとはいえ、
一から作り直しているような時間はもう残されていない。
基本的な構造はそのままに、
全体のフォルムを大きく変えてしまうことにした。
大型ベルト・サンダーの定盤の上に鯨を乗せ、
空洞の位置を指で探りながら、鯨を少しずつ削っていく。
作業場にはもうもうと木屑の粉が舞い始める。
集塵機の調子が悪く、木屑が吸い込まれていかない・・・。
仕方がないから、
大型工場扇で粉を吹き飛ばすことにした。
工場扇を向かって斜め左にセットし、ベルト・サンダーで鯨を削る。
粉は風に乗って工房の外に飛ばされていくが、
風力が強烈であるから、こちらの体温も急激に奪われていってしまう。
鯨を削っているうち、咳が止まらなくなってしまう。
すっかり身体が冷え切ってしまった。