2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

■ 二重虹

六時に起床。 七時、神戸の職場に到着。 パソコンの電源を入れる。 頼まれていた原稿の提出期限は今日の午前十時。 あらかたの筋は昨夜のうちに考えておいた。 一気呵成に一千五百文字の原稿を書き上げる。 午前九時半、島根県の安来に向かって出発。 天気予…

■ もみじ

「赤」という文字は 「大」と「火」の二つの文字から成り立っている。 大きく燃えあがる火の色が「赤」なのだ。 散歩の途中、 燃え盛る火のように赤く紅葉した楓の大木に出会う。 楓の横にはさらに大きな銀杏の木。 赤い葉の上に黄色い葉がハラハラと落ちて…

■ 樹皮喰い

夕方の薄暗くなる時分のことを、 昔は「逢魔が時/おうまがとき」と言った。 「大禍の時/おおまがのとき」が変化した言葉。 夕方は人間の眼が明順応から暗順応に切り替わる時。 人間の眼が明から暗に順応するには時間がかかる。 交通事故もこの時間帯に多発…

■ 304号室

私のアパートの部屋は三階にある。 仕事を終えて部屋に帰ると、 部屋はいつもぼんやりと暖まっている・・・。 上下左右の部屋の暖気が壁を伝わってきているのだ。 コンクリートの壁が熱を蓄え、 私の部屋でその熱を放っているとしか思えない。 上下左右の部…

■ とんぼ返り

上の機械室から帰ってきたYさんが、 「板が大き過ぎてあの糸鋸機では切れんよ」と言う。 「どれくらい?」 「あと五センチほど板が短ければなぁ・・・!」 「たった五センチかぁ・・・!?」 糸鋸機を扱わせたらYさんの右に出る職人はいない。 Yさんが不…

■ 怒

交差点の近くで道路工事が行われていた。 歩行者用の信号は赤だった。 工事を眺めながら信号が青に変わるのを待っていると、 後ろから母と子の会話が聞えてきた。 「ほらね、○○ちゃん、 あなたもちゃ〜んとお勉強しないと、 あんなふうになっちゃうのよ」 何…

■ MAX UND MORITZ

「Wilhelm Busch/ヴィルヘルム・ブッシュ」が 一八六五年に著した 「Max und Moritz/マックスとモーリッツ」。 ドイツでは知らない人がいないほど有名な絵本。 その「マックスとモーリッツ」のポップ・アップ絵本を入手する。 「マックスとモーリッツ」は…

■ エレガンス

十月二十八日の日記に「エレガンス」と書いたところ、 id:emimiさんから、 「女性のエレガンスって何?」というご質問をいただいた。 今日はそのご質問に答えたいと思う。 一口で「エレガンス」を定義づけるのは難しいのだが・・・。 京都で幼稚園を経営する…

■ 社畜

朝のニュース番組を見る。 テレビのスイッチを入れるのは久しぶりのこと。 どのチャンネルを回しても同じニュースが流れていた。 某設計士が設計した建物に倒壊の恐れがあるらしい。 建築のコスト・ダウンを図るため、 設計士は意図的に鉄筋の量を少なく見積…

■ 往復

午前九時五十分、岡山の職場を出発。 神戸に向かう。 オイルを交換したばかりのエンジンは アクセル・ワークに敏感に反応して回転数を上げていく。 今朝はとてもエンジンの調子がいい・・・。 十一時ちょうどに西宮北の料金所を通過。 コーヒー専門店「ヴィ…

■ 会談

Oさんからパイプ煙草を頂戴する。 杏のリキュールで味付けされた GOLDEN BLENDS の「アマレット」と、 「コナン・ドイル」が活躍していた時代、 十九世紀のレシピに従って作られた PETERSON の「シャーロック・ホームズ」。 「シャーロック・ホームズ」はク…

■ 雲海

玄関を出ると、 車のフロント・ガラスが凍り付いていた。 触れるのも痛いほど車体が凍てついている。 昨夜も本当に寒かった。 私の家は標高一千三百メートルの山の中腹にある。 麓のO町との標高差は約三百五十メートル。 気温は確実に三〜四度は違う・・・…

■ 蒜山三座

昨夜は午前一時に島根から帰宅。 今朝は午前六時に岡山の自宅を出発。 とても寒い・・・。 朝霧がたちこめる中、島根に向かう。 山の稜線がとても美しい。 前後の安全を確認。 車を停めて写真を撮る。 蒜山サービス・エリアの外気温は五度℃だった。 昨夜、蒜…

■ 散歩道

早く眼が覚める。 久しぶりにゆったりとした気分。 コーヒーを淹れる。 外は見るからに寒そう・・・。 押入れの中からコートを引っ張り出し、 早朝の散歩に出かける。 アパートの階段を下りていると、 母親の子どもを起す声が聞えてくる。 いつもの散歩道に…

■ F

帰り支度を整えていると、 私の携帯にFから連絡が入ってきた。 今から約三十年ほど前、 Fは私の家に四年間ほど居候をしていたことがある。 「Fです」 「おぉ、久しぶりやなあ」 「Nさん、今日はどこにいる?」 「岡山にいるよ」 「だったら○○○までやって…

■ 警告文

id:emimiさんの 十一月十日の日記を読んでいて感じたこと。 現在、煙草のパッケージには その三分の一のスペースに 様々な警告文が印刷されている。 やれ「喫煙は脳卒中の危険性を高めます」とか、 「肺癌や肺気腫の原因になりますよ」とか、 「性的能力が減…

■ 初心

今日は月に一度の「からくり人形教室」。 八ヶ月続いた教室も今日で終わり。 今日は自分がデザインしたからくりを自分の手で作る日。 ハンドルを回すと、 虹鱒が尻尾を振りながら泳ぎだすからくり。 ハンドルを回すと、 バレリーナが舞台の上で優雅に踊りだ…

■ 特別転回承認

早朝、中国道を米子に向かって走る。 美作インターを抜けた辺りから急に霧が濃くなってきた。 ミルクを流したかのような濃密な霧・・・。 四十メートルほど先の景色が見えない。 車のスピードを六十キロまで落とす。 霧の中を走っていると、 異次元の世界に…

■ D/その2

昨日、長男のDがフラリと神戸にやって来た。 都合で父の十七回忌には間に合わなかったものの、 やはり心のどこかにひっかかるものがあったらしい。 昨夜も母と妻が私のアパートに泊まっていた。 Dを囲んで鍋を囲むことにした。 数年ぶりの一家団欒。 母は…

■ 白秋

「こどもはひと夏ごとに おとなはひと秋ごとに なにか大切なものを身につけていくように思います」 たしか、このような文章ではなかっただろうか。 秋の京都への旅を誘うJRの宣伝文句。 なかなかに上手い・・・。 名のあるコピーライターの手によるのだろ…

■ 目途

いやはや大変だった・・・・。 安来市から制作依頼を受けたからくり人形だったが、 こんなに梃摺った仕事は始めてであった。 大きな舞台の上で六体の人形が動くという仕掛けだが、 メインの人形がどうしても動いてくれない。 理屈では軽々と動いてくれるはず…

■ 十七回忌

H君の「Nさん、朝です」 「そろそろ出かけましょう」という大きな声で眼が覚める。 今日は岡山の職場に出勤しなければならない。 また、今日は午後から自宅で父の十七回忌が営まれる。 「しばらく家族が顔を合わせていないわねぇ」という、 母の希望(命令…

■ 徹夜/その3

岡山の職場のH君に連絡をとる。 「明日と明後日だけど時間はとれない?」 「Nさん、また作品の納期でも迫っているんですか?」 「エッ、なんで分かったの?」 「僕に電話してくる時はいつもそうじゃないですか!」 「あれっ、そうだったっけ?」 それでも…

■ D

東京に住む息子Dの友人がアトリエに来てくれた。 関西への旅行のついでであったらしい。 「親父がどうしているか見てきて欲しい」と、 そう、Dに頼まれたらしい・・・。 友人の名前は「O」君。 O君にDの近況を聞く。 「お洒落にはまったく気をつかわな…