■ D/その2
昨日、長男のDがフラリと神戸にやって来た。
都合で父の十七回忌には間に合わなかったものの、
やはり心のどこかにひっかかるものがあったらしい。
昨夜も母と妻が私のアパートに泊まっていた。
Dを囲んで鍋を囲むことにした。
数年ぶりの一家団欒。
母は父の位牌を携えてきていた。
位牌の前にDの作品を置き、何やら父に報告している・・・。
「元気?」
「うん!お父さんは?」
「おかげさまで」
「そう!」
「仕事は?」
「忙しいよ」
「ANAの仕事の評価はどう?」
「う〜ん、まずまずかなぁ」
どうにも父と息子の会話というのは弾まない。
とっておきのシャブリを冷蔵庫から取り出す。
シャブリに牡蠣は定評のあるところだが、
熱々の煮えた鱈にもシャブリはよく似合う。
冷えたワインが二人の間を取り持ってくれている。
親子で静かにワインを酌み交わす。
胸が熱くなる・・・。
しみじみと嬉しい・・・。
キッチンから母と妻が戻ってきた。
途端に座が華やぐ。
座は華やぐが、とてもやかましい。
Dは明日の午後の新幹線で東京に帰るらしい。
Dと東京で一杯やることを約束する。
明日は私も午前七時半にアパートを出発しなければならない。
岡山のアトリエに向かう。
H君と合流し、作品の最終チェックを行う予定。
その後、鳥取県の米子市まで移動。
明後日は米子から安来に移動し、
夜は松江の友人たちと一杯やる予定。