2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧
昨晩から雪が深々と降り続いている。 雪が降ると思い出すことがある。 今から二十五年前、 日本海側の地方は記録的な大雪に見舞われた。 長野県白馬村では、 十三日もの間、雪が間断なく降り続き、 その間の積雪量は三メートル五十センチを超した。 道路も鉄…
東京から帰る。 東京はひどい雪だった。 東京駅舎の片隅にあるレストラン、 「DA CIBO」で夕食を摂って新幹線に乗り込む。 東京に出かけた時のいつもの習慣。 この店のピザはなかなか美味い。 昨日はイタリアのビール「メッシーナ」と、 「ロマーナ」と名付…
高さ二メートル三十センチ、 重さ百五十キロの 巨大「クルミ割り人形」が戻ってくる。 顔に大きな傷がついていた。 顔が木目に沿って縦に割れている。 まるで丹下左膳のよう。 帽子には大きな凹みが・・・。 十二月になると、神戸では 地元のバレー団による …
岡山の職場は昨日で御用納め。 机の上と中、すべての書架を整理する。 小さな江戸独楽が、 書架と書架の隙間から出てきた。 独楽を回して、暫し遊ぶ・・・。 積んであった段ボール箱の中から、 昨年に頂戴した手紙や葉書の束が出てくる。 一通ずつ読み直して…
昨夜はクラフトマン・ハウスの忘年会。 出席したのは、 家具作家のM君とN君、 そして、その弟子のN君とI君。 漆職人のS君、玩具デザイナーのK君。 からくり人形作家を目指すH君と、 ガール・フレンドのSさん。 G博物館のAさんとMさんとMさん。 …
著名な能面師であった故・鈴木能仁さん。 その能仁さんの弟子のSさん宅を訪問。 能仁さんの作品を見せていただく。 素晴らしい・・・。 能は、 面を上下に動かして微妙な感情を表現する。 これを「照らす」「曇らす」と言う。 ノミの痕が残る、 この「獅子…
離婚癖のある、 もとい、 男と女の修羅場を何度もくぐり抜けてきた Tからパイプ煙草が届く。 ダンヒルの「EARLY MORNING」と 「ROYAL YACHT」、 そして「LONDON MIXTURE」の三種類。 「LONDON MIXTURE」は上品な香り。 「EARLY MORNING」は軽やか。 「ROYAL…
大阪阿倍野の旭通りを歩く。 阿倍野は大阪の下町。 旭通りはそのまた下町。 地域再開発とかで、 昔の面影はもうどこに残っていない。 いつもピンク映画を上映していた映画館も、 小便の匂いが漂っていたパチンコ屋も、 怪しげな雰囲気を漂わせていたバーも、…
あまりにも寂しいので、 書斎と決めていた部屋の整理を始める。 自宅から古いテーブルと サイド・テーブルを運びこむ。 お気に入りの書籍七冊と お気に入りのランプ。 そして、ブックエンド代わりに お気に入りのバーボン・ウイスキーを置く。 これで仕事場…
ミュンヘンにお住まいのGさんから お願いしていた煙草が届く。 MARLBOROの煙を燻らせながら、 岡山のKさんとの会話を思い出す。 人は親を選んで産まれてはこれない。 国籍も、人種も、容姿も、性すらも選べない。 宿命といえば、それこそが宿命。 「だから…
新しいアパートに移ってから 二十日間が過ぎようとしている。 そもそもは寝るためだけに借りた部屋だから、 整理する気にはなれなかったし、 飾り付ける気にもなれなかった。 ジャコメッティのデッサン、 田松昌三のイラスト、 そして、私のイタズラ描き・・…
田舎に三十年も住んでいると、 日本の行政の縮図が見えてくる。 A村に「ゲートボール場」が出来ると、 隣のB村にも 立派な屋根付きのゲートボール場ができる。 建築費は二億円。 建設を強要したのは地元の老人クラブだが、 出来上がってこのかた、 この施…
鞄職人のTは神奈川県K市の出身だが、 離婚騒ぎのドサクサに嫌気がさし、 プイと家を飛び出して新潟県に引っ越し、 新しい女房と所帯を持った。 その後、 離婚騒ぎのドサクサに嫌気がさし、 プイと家を飛び出して群馬県に引っ越し、 新しい女房と所帯を持っ…
十年ほど前、「メル・ギブソン」と 「ジョディ・フォスター」が主演した映画に 「マーベリック」というのがあった。 イカサマ賭博師が主役の西部劇。 映画には、往年の名俳優「ジェームス・ガーナー」が ギブソンの父親役で出ていた。 私が中学生の頃、 「マ…
二人の男が同じ日の同じ時刻に死ぬ。 一人は劣悪な環境に生まれ育ち、 止むに止まれぬ事情で殺人を犯した男。 一人は裕福な家庭で育ち、 何の苦労もなく一生を平凡に生きてきた男。 二人は同時に審判者の前に連れて行かれる。 審判者は殺人を犯した男に天国…
タイヤの空気圧、 ブレーキ・オイルやウォッシャー液の残量、 その他諸々をチェック。 車にたっぷりとガソリンを飲ませた後、 私にも「珈蔵」で美味いコーヒーを飲ませてやる。 H村に帰る時のいつもの儀式。 コーヒーを飲みながら、 今日一日の出来事を反芻…
アトリエの窓から通りが見える。 今朝も今朝とて、 どこから見ても夫婦とは思えない、 そんなカップルが何組か通り過ぎていく。 圧倒的に多いのは、 オジサンと若い女性という組み合わせ。 「頑張れオジサン」と、 ついついエールを送りたくなってしまうでは…
長野市安茂里(あもり)に住むHさんが、 今年も林檎を大量に持ってきてくださる。 Hさんと初めて出会ったのは、 私が長野県白馬村に住んでいた頃のこと。 当時、彼は青果物の行商を営んでいた。 彼が届けてくれる野菜はどれも新鮮で瑞々しく、 母や妻は「…
スイスの授産施設、 「ALBISBRUNN/アルビスブラン」製の積み木。 ここでも多くの知的障害者が働いている。 一流のデザイナーがおもちゃのデザインを提供し、 施設がそれを生産する。 出来上がったおもちゃはルートにのせられ、 世界中で販売されている・・…
おもちゃデザイナーのK君と、 神戸市にあるH授産所に出向く。 知的障害を持つ子どもたちが集う施設。 施設の職員の指導のもと、 子どもたちは ここでいろいろな木工製品を作り、 契約している施設や商店に販売している。 木工所の入り口に象のおもちゃを見…
今日は私の誕生日。 自分が何歳になったのか、 咄嗟には思い出せないほどの齢を重ねてきた。 東京のEからパイプ煙草を頂戴する。 パイプを嗜む者にとっては何よりのプレゼント。 小包の中には、 バーレー葉とバージニア葉がミックスされた、 アメリカ POSCH…
急用ができて、 朝早くから神戸の街に出かける。 車を利用していたのでは約束の時間に間に合わない。 最寄りの駅から列車を利用することにする。 T駅で接続列車に乗り込んだところ、 座っていた幾人かの女性たちから キッ!と恐い目付きで睨みつけられる。 …
父の形見の腕時計。 四十七年前の「 RADO GREEN HORSE 」。 初期の自動巻タイプ。 今も立派に動いてくれてはいるが、 一日に必ず五分は進む。 オーバーホールに出したところ、 部品が無いから直せないと、 今朝、以前のままの状態で戻ってきた。 今日も午前…
札幌発 11:00 のJALで東京に向かう。 機内でコーヒーを頼むと、 チョコレート・フィナンシェがついてきた。 チョコレートの苦味がほどよく利いていて、 なかなかに美味しい。 コーヒーの渋味に良く似合う。 袋の裏面をチェックすると、 製造元は長野県大…
オホーツクの近く、 留辺蘂(るべしべ)に住む木工家、 Yさん夫婦と小樽で待ち合わせる。 「寒い、寒い」と身体をブルブル震わせている。 「どうした?」と訊くと、 「オーストラリアに行ってきたのサ」 「昨日の夜、千歳に帰ってきたばかりサ」という返事…
JAL2503便で札幌に向かう。 サッサと仕事を片付けた後、 独りでブラブラと札幌の街を探検する。 アルバイトで稼いだ三万円を握りしめ、 駅の待合室を宿として、 北海道単独一周赤貧旅行を敢行したのは、 私が十八歳の時。 時は移り、 もう、どこにも…