■ 特別転回承認

aquio2005-11-10

早朝、中国道を米子に向かって走る。
美作インターを抜けた辺りから急に霧が濃くなってきた。
ミルクを流したかのような濃密な霧・・・。
四十メートルほど先の景色が見えない。
車のスピードを六十キロまで落とす。
霧の中を走っていると、
異次元の世界に迷いこんだかのような錯覚を覚える。
このままどこかに連れ去られていくかのような感覚。
とても静か・・・。
聞えるてくるのは車のエンジン音だけ。
「栄光のグループ・サウンズ」のカセットをかける。
三十五年ほど前の萩原健一が「純愛」を歌っている。
かまやつひろし」が「バン・バン・バン」を、
堺正章」が「あの時君は若かった」を歌っている。
「あの時君は若かった わかってほしい僕の心を・・・・」
「そうだよ、お前も俺も若かったよなぁ」と、
歌を口ずさんでいるうち、
米子道への進入路をうっかり通り過ぎてしまった。
アレアレ・・・・。
仕方がないから、次の落合インターまで車を走らせる。
落合の料金所で、
「すみません、米子道に入り損ねました」と係員の方に声をかける。
「じゃぁ、特別転回承認のハンコを押しますからUターンしてください」
「すみませ〜ん」
料金ゲートを出て、車を大きくターンさせて料金ゲートに向かう。
赤い「特別転回承認」のハンコが押された元のチケットを返してもらう。
「うっかり見過ごされたんですか?」
「いえ、大きな声で歌を歌っているうちに通り過ぎてしまったんです・・・」
「アハハ・・・、ま、霧が濃いからお気をつけて」
「ありがとうございます、お手数をおかけしました」
と、まあ、
この「特別回転承認」のハンコが押されたチケットを持っていると、
超過した高速道路料金は徴収されないで済む・・・。
過去にも同じようなミスを何度か犯しているが、
自分のミスを認めて正直に申し出ればいいのだ。
解決方法は先方が用意してくれていることも、ある。
「特別回転承認」のハンコを今までに何度いただいたことになるのだろうか。
ひょっとしたら、「ボケ」が始まっているのかもしれない・・・。
どうにも注意力が散漫になってきているような気がする。