■ 304号室
私のアパートの部屋は三階にある。
仕事を終えて部屋に帰ると、
部屋はいつもぼんやりと暖まっている・・・。
上下左右の部屋の暖気が壁を伝わってきているのだ。
コンクリートの壁が熱を蓄え、
私の部屋でその熱を放っているとしか思えない。
上下左右の部屋と私の部屋、
その温度差が大きければ大きいほど、
熱の交換は盛んに行われるはず。
石油ファン・ヒーターは納戸に入れたままだし、
灯油もまだ買いにいっていない・・・。
灯油といえば、
昨冬の灯油の使用量はわずか四十リットルほどであった。
寒さに耐え切れない時、
その時にだけヒーターのスイッチを入れるようにしている・・・。
炬燵の温度を「弱」に設定し、フリースのジャケットを着る。
たったそれだけのことで暖かく過ごせるのだ。
機械から吐き出される暖気や冷気がどうしても好きになれない。
昨夜の部屋の温度は二十二度。
炬燵のスイッチを入れるほどの寒さではなかった。
もっとも、
上下左右の部屋の住人がストーブを焚いてくれているからこそ、
その温度が維持されているのだろうが・・・。
部族の名前は忘れてしまったが、
あるアメリカ・インディアンには「大地は子孫からの預かりもの」という思想がある。
今に生きる人間は
今のままの環境を子孫に残す責務を果たさねばならない・・・という哲学。
現在、私は子どもの遊びの文化に関わる仕事に就いている。
「子どもは未来です」と、
時には偉そうなことを喋らなければならないこともある・・・。
だからこそ、環境問題には敏感にならざるを得ない。
私が大型車を購入しないワケもここにある。