■ 雲海

aquio2005-11-18

玄関を出ると、
車のフロント・ガラスが凍り付いていた。
触れるのも痛いほど車体が凍てついている。
昨夜も本当に寒かった。
私の家は標高一千三百メートルの山の中腹にある。
麓のO町との標高差は約三百五十メートル。
気温は確実に三〜四度は違う・・・。
家の周りが雪で覆われていても、
麓に下りれば雨が降っていることがある。
午前六時半、
今朝は遠く瀬戸内海に向かって一面の雲海が見渡せた。
何も見えない。
見えるのはただただ雲の海だけ。
小高い山の頂がまるで波に浮かぶ島のように黒く見える。
白い雲と黒い山。
遠くの山は鼠色に霞んで見える。
静寂に包まれた墨絵の世界・・・。
「墨に七彩あり」
白い色と黒い色が饒舌に語りかけてくる。
墨絵の世界がなんとなく理解できたような気がする。
色を見るのではなく、色を感じればいいのだ。
色鮮やかな白と黒の世界・・・。
暖機運転を終えた車を駆って神戸に向かう。
今日は神戸の職場に出勤。
明日は岡山の湯郷温泉で重要な会議がある。
とんぼ返りをしなければならない・・・。
それにしても移動の多い生活ではある。
移動を苦痛に思ったことはないが、
そのことに費やす時間がなんとも惜しい・・・。