■ 徹夜/その3

aquio2005-11-04

岡山の職場のH君に連絡をとる。
「明日と明後日だけど時間はとれない?」
「Nさん、また作品の納期でも迫っているんですか?」
「エッ、なんで分かったの?」
「僕に電話してくる時はいつもそうじゃないですか!」
「あれっ、そうだったっけ?」
それでもH君は快く神戸まで駆けつけてきてくれた。
五日ほど前に徹夜したばかりだというのに、
昨夜もとうとう徹夜になってしまった・・・。
しかし、作品はとうとう完成しなかった。
未完成のまま、作品を車に積んでアトリエを出発。
Tさんの車をお借りして大阪の豊中市に向かう。
お客様に納期に間に合わなかったことを謝罪するが、
「期待していた以上の出来栄えです」
「納期のことは気にしないでください」
「それよりも貴方の納得のいく作品を作ってください」と告げられる。
とても嬉しい・・・。
車を走らせてアトリエに戻る。
H君はまだ作業を続けてくれていた。
H君に「花居森」の鍋料理をご馳走することにした。
この店の軍鶏肉を使った鍋は本当に美味しい。
暖かい鍋料理を二人でつつく。
お腹の皮が張ってくると、瞼の皮が緩んでくる。
今夜は私のアパートに泊まってもらうことにした。
アパートに帰り、炬燵に脚を入れてビールを飲む。
睡魔が襲ってくる・・・・・。
三十三時間あまり働き続けていたことになる。
さすがに疲れた。
明日は岡山の職場に出勤しなければならない。
明朝は二台の車で移動すればいいだろう。
ふと、右手に痛みを感じる。
親指と人差し指が尋常ではないほどに腫れあがっていた。
指先の皮がめくれている。
人差し指と中指の爪が欠けている。
小さな切り傷や擦り傷が何ヶ所かにある。
コーヒーを入れたカップが持てないほど握力が低下している・・・。
もうこれ以上は仕事をするな・・・というサインなのだろう。