■ Seiffen / ザイフェン二日目

aquio2008-12-23

午前十時、ザイフェンの玩具博物館に向かう。
館長のコンラッドが館内を案内してくれることになっているが、
会っていきなり、
「今日は時間がない」
「もうすぐ出かけなければならない」、と言う。
ドイツ人の律儀さなんだろうが、
彼が約束を破るようなことは過去に一度もなかった。
しかし、その彼がそう言うのであるから、
それなりの重大な事件が起きたのかもしれない。
皆さんが館内を見学されていらっしゃる間、
三階の踊り場の椅子に座り、ウツラウツラと惰眠を貪る。
いくら寝ても寝足りない・・・。
お昼ご飯はトマト・スープとパン。
酸っぱいスープにソーセージや様々な野菜がたっぷりと入っている。
冷えた身体にこの温かさがなんとも嬉しい。
昼からは皆さんのお買い物のお手伝い。
昨年あたりからだったろうか、
コンピューター制御によるレーザー工作機械が出回ったことで、
エルツ地方の技術には目覚しい進歩が見られるようになった。
しかし、そこには「職人」の技がどこにも見られない。
絵を描けば、その絵をコンピューターが読み取り、
レーザーが絵とまったく同じものを何千、何万と生産していく。
素人目にはなかなか美しく仕上がっているように感じられるが、
そこには「味わい」というものがまったく存在しない。
また、「クルミ割り人形」ひとつとってみても、
日本のこけしと同じように、その出来映えは千差万別。
美しい顔つきのものもあれば、品のない顔つきのものもある。
はるか旧・東ドイツの地の果てのような村にまでやってきて、
つまらないものを買ってしまったのでは後々に悔いが残る、というものではないだろうか。