■ 真珠会館

aquio2008-11-29

真珠会館から依頼のあったからくりの制作に取り掛かる。
真珠会館は、
あのルミナリエの最終地点にあるレトロなビルだが、
ルミナリエの期間中は、
訪れる来館者の数も半端じゃないほど多いという。
「真珠は人魚の涙」
「真珠は月の雫」、
その二つをコンセプトにからくりを作ることになっていたが、
手伝ってくれていたT君がいきなりストライキに入ってしまう。
「どう頑張っても期日には間に合いそうにもない」
「身体に鞭打つような仕事はしたくない」
「仕事は自分のペースで進めていきたい」、
ということであるらしい・・・。
私は彼のライフ・スタイルに口を挿むつもりなど毛頭ない。
問題は「請けた仕事を途中で投げ出すか、投げ出さないか」なのであり、
依頼主に対する「信義」の問題であり、
彼のライフ・スタイルの問題ではないのであるね。
期日までに仕上げられる技法や、
考えられる問題点と解決法を示しながらT君を説得する。
ま、制作の現場ではいろいろなコトが起きるものである・・・。
念のため、半日の猶予をいただけるよう、依頼主のSさんに連絡する。
快諾を得たことで、気分的に多少の余裕ができる。
しかし、納期までには三日半しか残されていないから、
作業は迷うことなく進めなくてはならない。
誰一人無駄口を利かないから、作業は粛々と進む・・・。
私は六体の人魚の色塗りに専念することにしたが、
なかなか思ったような色が表現できない。
ラフ・スケッチで表現した色とは微妙に違う。
青に紫を加えたり、それにまた群青を加えたりと、試行錯誤を続ける。
深夜、人魚の尾の部分の色が決まる。
色が決まれば、あとは何度か塗り重ねていくだけのこと。
ひょっとしたら、今夜も寝れないかもしれないな。