■ 成田

aquio2008-11-27

徹夜明けの二十六日、
現場の始末をH君に託しておき、
午後の新幹線で東京に向かう。
心身ともに疲れ果てているから、
グリーン車のチケットを購入することにした。
列車が新神戸の駅を離れる間もなく、
泥のように眠りこけてしまった・・・。
気が付くと、新幹線は品川駅を出るところであった。
新幹線は実に速いね。
地下鉄を乗り継いでいく気力もないから、
タクシーに乗って予約していた銀座の宿に向かう。
部屋に入ったとたん、またまた正体なく眠り込んでしまう。
午前十一時、P社のSさんの車に同乗させていただき、成田に向かう。
関税の保税倉庫にザイフェンの玩具博物館から木製のシャンデリアが届いているのだが、
重要文化財ほどの価値のある繊細なシャンデリアであるから、
破損などがあった場合、保険で弁償、で済まされるはずはない。
現場には運送会社の担当者も立ち会うという約束であったが、
吹きっ曝しの保税倉庫で待っていても、いつまで経っても担当者がやって来ない。
仕方がないから、Sさんと木箱を開梱することにしたが、
現場にはろくなねじ回しが用意されていない・・・。
小さなねじ回しで箱を開けているうち、
身体がホカホカと温まってくるが、息も切れてくる。
ザイフェンからの荷物の梱包具合はパーフェクトであった。
外箱の中に内箱がセットされていたが、どうにもその内箱に見覚えがある。
内箱の外側には、
「Dr. Konrad Auerbach」
「Erzgebirgisches Spielzeug Museum Seiffen Huptstrasse 73」
と書かれた紙が糊で貼り付けられていた。
二年前の三月、私がザイフェンの玩具博物館に作品を送る時に使った木箱・・・。
木箱がお里帰りしてきたようで、なんだか無性に嬉しかった。