■ 猫と息子と私
息子は猫と暮らしている。
一年ほど前のこと。
富山市の国道で事故に遭い、
瀕死の重傷を負っていた子猫を、
息子は動物病院に運び込んだ。
まだかすかに息があったらしい。
見捨ててはおけなかったのだろう。
手当の甲斐があり、
子猫は奇跡的に回復したが、
「この猫をどうします?」
「引き取り手が無いのなら、保健所に連絡します」
「せっかく助けた命ですよ・・・」。
獣医師の言葉に押されて、
息子はその猫と暮らすことになった。
時々、私は息子のアパートを訪れることがある。
時々、猫は私の寝床に潜り込んでくることがある。
なかなかに可愛い。
数ケ月前の朝、
パジャマに血が滲んでいることに気付いた。
鏡に背中を映してみると、
左肩に猫の爪痕がついていた・・・。
昨日の朝、
パジャマに血が滲んでいることに気付いた。
鏡に背中を映してみると、
右肩に猫の爪痕がついていた・・・。
結構、傷は深い。
私の背中で爪研ぎでもしているのだろうか。
「痛くて眼が覚めるんじゃないかなぁ、普通は?」と、
息子に笑われる。
「赤いマニキュアをした猫じゃないの?」と、
女にからかわれたらどうしよう。
ま、そんな相手もいないか・・・・。