■  四十年ぶりの

aquio2005-02-28

仕事を抱えて大阪に出向く。
茶店で打ち合わせをしている時、
私に注がれる視線に気付く。
身なりの整った初老の男性が私を注視していた。
どこかで出会ったことがあるような・・・。
「はてさてどこのどなたであったか」と、
訝しんでいたら、
彼も軽く会釈をしてよこすではないか。
打ち合わせを終え、
その男性の席に向かう。
彼も同じように訝しんでいたらしい。
出身地や出身校を確認しあう。
席を並べて絵画の勉強をしていたOであった。
「オ〜ッ、お前かぁ」と、
口調がいきなりその時代に返る。
彼は建築家になっていた。
髪の毛がすっかり白くなっていた。
私たちが席を並べていたのは、
大阪市立美術館の館内にあった学校。
今からちょうど四十年前のこと・・・。
「Tは美術の道からそれてうどん屋をしている」とか、
「Sは孫ができて、いいお婆さんになった」とか、
「Fは実家に戻って煎餅屋になった」とか、
その時代の仲間の情報を交換しあう。
次には一杯やることを約して別れる。
先ほどアパートに帰ってきたところ。
アルコール・ランプに火を灯す。
智はどこでどうしているのだろう、
新ちゃんは何をしているのだろう、
咲ちゃんは・・・・。
その時代の仲間のことを思い出す。
力も金もなかったが、
あの頃には未来がいっぱいあった。
皆、若かった・・・・。