■ 影踏み

aquio2005-04-16

急用ができ、
自宅のある岡山県H村に帰ってきた。
昨夜は
庭に咲く片栗の花と葉の天婦羅が食卓に出た。
葉にはモチモチとした食感があって
とても美味しい。
H村には片栗が群生する斜面があるが、
他所者にはその在り処を教えない決りがある。
教えたが最後、
根こそぎ持って帰られてしまう恐れがある。
「一本ぐらいはいいだろう」と、
そう考える人が千人いれば、
千本の片栗が無くなってしまうのだ。
私の家の庭にも笹百合が群生していたが、
今では一本も残っていない。
家人の留守を狙って、
誰かが庭を何度も掘り返して盗んでいった・・・。
山里の自然は山里に住む人間のもの。
それぞれに持ち主がいる。
都会の人間に盗んでいただくために
山里の自然があるワケではない。
今日も朝から暖かい。
用事を済ませ、
自宅までの道をゆっくりと歩いて帰る。
「ホーホケキョン」。
まだ「ホーホケキョ」と上手く鳴けない鶯の声が
薮の中から聞こえてくる。
カーディガンを着ていると、
脇の下が汗ばんでくる。
私の影が私を先導しながら歩いていく。
影を踏みながら家への道を歩く。
庭のタラの芽が大きく膨らんできている。
コシアブラの芽も大きくなってきた。
タラの芽の天婦羅も美味しいが、
コシアブラの天婦羅はもっと美味しい。
来週半ばから週末までが食べごろと見た。
盗まれなければいいのだが・・・。