■ カレー島物語

aquio2006-05-08

昔々、あるところに
「ニッコロガシ」という名の小さな島があった。
「ニッコロガシ島」には、
「ジャガイモ村」、「ニンジン村」、「タマネギ村」、
そして「ギュウニク村」という四つの村があった。
「ジャガイモがなければトロミは出ない」とか、
「ニンジンがなければ風味は出ない」とか、
「タマネギがなければ甘味が出ない」とか、
「ギュウニクがなければニッコロガシは成立しない」とか、
四つの村の住人たちは「ニッコロガシ」の味付けをめぐり
互いにいがみ合っていた。
ある時、その「ニッコロガシ島」に一人のインド人がやって来た。
インド人はスパイスの利いた黄色い粉を持ってきていた。
四つの村の対立を知ったインド人は、
ジャガイモとニンジンとタマネギとギュウニクを鍋に入れ、
黄色い粉を振りかけてグツグツと煮た・・・。
素晴らしい香りが辺り一面にたちこめ、
四つの素材はそれぞれの個性を主張しながらも、
鍋の中で素晴らしい調和をみせていた・・・。
以後、「ニッコロガシ島」の住人たちは調和を重んじるようになり、
その料理に「カレー」という名前を付けた。
そして、島の名前を「ニッコロガシ島」から「カレー島」に替えた。
今日はM大学児童学科における三回目の講義の日。
先々週、私は学生たちに「人形劇」の課題を与えておいた。
今日は学生たちによる十二組の人形劇団の発表があった。
一つ一つがヒネリの利いた素晴らしい人形劇であったと思う。
中でも、
最も「起承転結」が明確であったのが、この「カレー島物語」。
八人の女の子たちによる愛らしい物語の人形劇であった。
同じ空間で一緒に笑い、一緒に拍手をおくる・・・。
私と学生達との距離が一気に縮まったような気がする。
今日はなかなかに気分がいい。
自宅の庭に咲いた「花海棠」も一段と美しく見える・・・。