■ 敵情視察
神戸に新しいレストランが開店した。
若者たちの間で評判になっているらしい。
イタリア料理の店を経営する息子と出かける。
ちょっとした敵情視察といった感じ。
シャンペンを飲みながら、
まずはシーザーズ・サラダを注文する。
サラダは野菜の新鮮さとドレッシングが命。
味は、ま、こんなものだろうと思うほどのものであった。
しかし、
その皿の盛り付けはなかなかに素晴らしい。
野菜のカッティングに工夫が見られる。
「意表をつく出し方だなぁ」、と息子は感心していた。
ウエイトレスのお嬢さんの笑顔は完璧。
言葉遣いにも訓練が行き届いている。
二杯目のシャンペンを飲みながら、
和牛のカルパッチョを頼む。
味はイマイチであったが、
ウエイトレスのお嬢さんの笑顔がいいから、許すことにする。
このお嬢さんはお酒を勧めるのがとても上手い。
なかなかのテクニシャンと見た。
「もう一杯いかがですか」、とシャンペンを勧められる。
ついつい三杯目を注文してしまったではないか。
ついでにマルガリータと子牛のカツレツを注文する。
マルガリータはとても美味しかったが、
どうも「肉」の扱いが不得手であるように感じられる。
インテリアはイタリアの匂いがまったくしない。
「イタリア料理をニューヨークの感覚で食べる」、
一言で表現すると、
レストランはそんな感じの店だった。
チーフらしき男の目つきが少々気にはなったが、
ま、及第点をあげてもいいのではないだろうか。
息子の店と比べ、
勝っている点もあれば劣っている点もある。
息子には勉強になったのではないか、と思う・・・。