■ 家

aquio2006-08-14

自宅に電話する。
「今日から三日間ほど帰ります」
「何しに?」
「何しにって、亭主が家に帰ったらあかんの?」
「忙しいからまたにしてちょうだい!」
「そやけど、そっちの職場に出勤せなあかんし」
「こっちはお盆で忙しいの!」
「そんなこと言わんと・・・」
「お客様の食事の世話もせなあかんし!」
私の妻は小さなホテルを経営しているのだ。
「俺一人ぐらい何とでもなるやろ?」
「その俺一人っていうのが困るのよ!」
「なんで?」
「アンタは縦のものを横にもせん人やから!」
「ま、それはそうやけど・・・」
「また、ぎょうさん洗濯物を持って帰ってくるんでしょ?」
「ピンポ〜ン」
「何がピンポ〜ンやのん!何日分の洗濯物がたまってるん?」
「三日分です、すんまへん・・・」
「ま、しょうないわ、帰ってきてよろし」
「すんまへん、おおきに・・・」
「帰りにいつものスーパーでヨーグルト三つ買ってきてな!」
「承知いたしました・・・」
昔は三つ指をついて私の帰りを迎えた女であったのに、
いったい、いつから妻と私の立場が逆転してしまったのだろう・・・?
「女は三界に家なし」
昔はそう言ったものだった。
これではまるで「男は三界に家なし」ではないか。