■ 年の瀬

aquio2007-12-30

また今年も年末が来てしまった。
アトリエが散らかっている。
正月を迎えるにあたり、ちょっとだけ片付けることにした。
「四十を越えれば五年十年は束になって飛んでいく」、
と誰かが言っていたが、
まさしく、その通りであるなぁ・・・。
昔、父に凧の揚げ方を教えてもらったことがあった。
三男のSがまだ小学生であった頃、
私はSに凧の揚げ方を教えたことがあった。
それは、私が父から教えられた凧の揚げ方だった。
空に揚がった凧を眺めながら、
数年前に鬼籍に入ってしまった父のことを思い出していた。
洟を垂らしながら私が凧を揚げていたのも、
つい先日のことのように感じられたものだった。
過ぎてしまえば、人生はまことに短く感じられる。
あれは四年ほど前のことだったか、
鎌倉の某喫茶店で一人のご老人と席をご一緒することがあった。
最初は季節の話題を交わす程度であったのが、
いつの間にか、話は「フランス革命」に及んでいた。
ご老人はそのライフ・ワークとして「フランス革命」を研究されていたのだ。
「会議は踊る・されど進まず」、
で有名な「ウイーン会議」の裏話も面白可笑しく話してくださった。
鎌倉に住む知人に聞いた話では、
そのご老人は、あの写真家の「土門拳」を世に出させたという、
某有名出版社の名物編集長でいらっしゃったという。
すべての資産を整理され、今は小さなアパートに独りで暮らしていらっしゃるらしい。
アパートの小さな部屋には小さなテーブルとベッド、
そして、奥様の位牌しか置かれていない、という・・・。
見事な生き方であるな、と感銘を覚えたものだった。
この歳になってもまだ娑婆っ気が抜けないでいる私だが、
年の瀬の大掃除のように、
いつかは私も身辺を整理しなければならない日がやって来るはず。
人生の瀬の大掃除、といったところか・・・。
さてさて、なのであるね。