■ Le Départ / 出発

aquio2008-05-13

先日は「パーカー」の「暗夜を渉る」を観た。
そのDVDを返却したついでに、
TSUTAYA」の店内をウロウロと歩き回っていて、
棚の最下段に「Le Départ / 出発」のパッケージを見つける。
今から四十年ほど前に制作されたベルギー映画
当時は随分と評判になった映画だったが、
ついつい今日まで観そびれてしまっていた。
「おぉ、こんなところで埃にまみれて・・・」、
と嬉しくなり、ついつい借りてしまう。
ポルシェが夜の街を失踪するシーンから映画は始まる。
レーサーになることを夢見る美容師見習いの若者の物語。
レースには「ポルシェ911S」で出場しなければならないのだが、
若者にはそれを買うだけの財力がない・・・。
夜な夜な美容院のオーナーの所有するポルシェを勝手に乗り回しては、
そのドライビング・テクニックを磨いたりしている。
監督は「イエジー・スコリモフスキー」。
あの「ロマン・ポランスキー」のライバルと目された人物。
映画には随所に非現実的な場面が挿入されているが、
私にとっては、往年の名車がズラズラと登場するのが、何といっても嬉しい。
「フォード・マスタング・ファーストバック」「ポルシェ911
ルノー・ゴルディーニ」「シムカ・クーペ」・・・等々。
「Le Départ / 出発」が日本で上映されたのも今から四十年ほど前のこと。
私が二十歳そこそこの頃だったと思う。
時代的には「クロード・ルーシュ」が「男と女」を発表した頃とほぼ同じだが、
映像といい、登場人物が交わす会話といい、音楽といい、
映画としての出来は「男と女」の方がはるかに優れているように思う。
全編に「Kizystof Komeda / クシシュトフ・コメダ」のジャズが流れているのだが、
これも、「死刑台のエレベーター」の「マイルス・デーヴィス」にはるか及ばない。
しかし、あの時代の若者が抱えていた閉塞感や無軌道ぶりは、よく描かれていたな。
もし、あの若い時代にこの映画を観ていれば、
もう少し、主人公の行動に共感を覚えていたかもしれない・・・。