■ きみのばんじろう

aquio2004-10-06

兵庫県・柏原(かいばら)町を訪れる。
訪問した先のご主人から、
「きみのばんじろうたべる?」、と問われる。
何のことやら分からない・・・。
訊いてみると、
「ばんじろう」は「グァバ」の和名であり、
「黄実の蕃石榴」と書くらしい。
「きみのばんじろうたべる?」は
「熟したグァバを食べませんか?」という意味だった。
そもそもグァバは紅く熟すものであるらしく、
それを「照り葉蕃石榴」と呼んで
「黄実」と区別しているとのこと。
恐る恐る食べてみると、なるほどグァバの味がした。
当たり前か・・・。
柏原は、織田信長の弟の信包が築いた城下町。
いまでも当時の雰囲気を色濃く残している。
「雪の朝 二の字 二の字の 下駄のあと」と詠んだ、
あの「田捨女/でん・すてじょ」が生まれた町でもある。
捨女はこの句をわずか六歳の時に詠んだらしい。
「いつかいつか いつかと待ちし けふの月」。
「いつかいつか」は待ち遠しい気持ちを表すのと同時に、
「五日・五日」を意味し、
「いつか」を三回重ねることで「十五夜」を表すとのこと。
「なるほどねぇ・・・うまいねぇ・・・」と、
しばし、その句碑の前で佇む。