■ 顔

「ウ〜ッ」、
思わず唸り声が出てしまうほど寒い。
空調装置の嫌いな私は、
一切の暖房機器のスイッチを切ってから
寝床に潜り込むことにしている。
従って、朝の室内の温度は
外気温と変わらないほどに冷えきっている。
特に今朝は寒かった・・・。
ストーブに火を着け洗面所に向かう。
冷たい水で顔を洗い、歯を磨く。
一気に眼が覚める。
髭を当たり、
シェービング・ローションを顔に塗りながら、
鏡に映った我が顔を繁々と見つめる。
「男の顔は履歴書」、
そう言ったのは「大宅壮一」だった。
確かに、男の履歴は顔に出る。
特に、笑顔には履歴のすべてが表れるように思える。
卑しい笑い方をする男はやはり素性が卑しいように思える。
顔は笑っていても眼が笑っていない奴もたくさんいる。
気をつけなければ・・・。
「男の顔は履歴書」と言ったのは「大宅壮一」だったが、
「女の顔は請求書」と言ったのは「藤本義一」。
「政治家の顔は領収書」と言ったのは、
はて、誰だったか・・・・？。